バイヨン寺院の浮き彫りにおける微生物の研究

バイヨン修復現場から

バイヨン寺院の浮き彫りの劣化が進行していることが確認されていますが,その一つの原因は石材の表面に着生している微生物の影響であると考えられます。これまでにも様々な研究が進められてきていますが,今年度もいくつかの微生物学からのアプローチによる石材劣化に関する研究が実施されました。

調査には東京農工大学の片山葉子先生,久住朝子さん,佐賀大学の染谷孝先生,そして香港大学のGu先生が参加されました。

 


いくつかの調査課題について並行して取り組まれましたが,今回は寺院内の空気中に漂う微生物の採取,石材表面の色調にともなう微生物群の差異に関する調査,藻類を駆除する可能性がある微生物の生育実験,石材表面に固定された窒素濃度の分析等が主に行われました。


 

石材劣化のメカニズムは岩石や生物の複雑に入り組んだ諸相が影響して進行するものであると推測されています。着生している生物群相を解明することに始まり,それらが劣化のメカニズムのどのような過程に寄与し,それがどの程度の影響力を有しているのか,さらにはその影響を低減するための方策を導き出すこと等々,様々な困難な課題が残されています。(一)

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