今月半ばより、サンボー・プレイ・クック遺跡群で考古学的な発掘調査を予定しています。
この調査期間中には、プノンペン芸術大学とメコン大学の建築学部・考古学部の学生への研修事業をあわせて実施する予定で、その研修に参加する学生の面接試験を各大学で行いました。
王立プノンペン芸術大学はカンボジアで唯一の考古学部を有する大学です。アンコール遺跡をはじめとして、カンボジア国内の遺跡保存や研究の専門家を輩出してきました。クメールルージュとその後の内乱が沈静化してから再開されたこの大学では、今年で22期生になっています。JSAの専門家の大半もこの大学の出身者です。
1990年代後半からの10年ほどは、プノンペン芸術大学へは様々な国際的支援があり、10年ほど前はクメール研究の国際的な大家が教員陣としてずらりと揃っていましたが、ここ数年はそうした支援が途切れ、外国人教員は皆無、そしてカンボジア人教員も十分な体制が整っているとはいえない状況に陥っています。
遺跡の発掘現場や修復工事を通じての研修事業も、かつては様々な国際チームが行っていましたが、最近ではそうしたプログラムは低調で、学生はなかなか生の現場を体験する機会がありません。
早稲田大学によるサンボー・プレイ・クック遺跡群の事業においても毎年研修事業を継続していますが、多数の研修参加者を受け入れることができず、面接ではかなり優秀でやる気に満ちた学生の多くから選択しなくてはならない苦々しい状況があります。JSAでも2005年まではこうした研修事業を年に二回実施してきましたが、現在は中断しています。ぜひ来年からの新たな事業フェーズでは再開できたらと考えています。(一)
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