さて,現在ワット・プーで進められているイタリア隊による修復工事はイタリア政府とアメリカのNGOであるGlobal Heritage Fundとが予算的な支援をしています。今回はGlobal Heritage Fundの代表であるジョン・サンデーと同便でラオス入りをしました。彼は現在バンテアイ・チュマール遺跡の修復工事の指揮をとっていますが,今回は彼のNGOが支援しているワット・プーの修復の視察のためにラオスを訪れたのでした。
彼は以前,World Monument Fundが実施しているアンコール遺跡のプレア・カーン遺跡やタ・ソム遺跡で修復事業のリーダーを務めており,クメール寺院については精通した人物です。ワット・プーはアンコールから少し離れたアンコールにとっては衛星的な位置にある寺院ですが,クメールに関心を持っている研究者はしばしここを訪れ,メコン川の緩やかな流れと聖山の麓の静寂に包まれたこの寺院で,アンコール遺跡の全景に想いを馳せるようです。全体像を描くためには,中心にばかりいてもダメなのかも知れません。
さて,こんな辺境な片田舎ではありますが,イタリア隊の宿舎の夕食はさすが絶品のパスタとワインと,そして話し好きのイタリア人の喋りに圧倒されて,ラオスの静けさなどまったく遠くに追いやったままに夜は更けてゆくのでした。
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