プレアカーン遺跡の調査

カンボジア国内の遠方遺跡の多くは、近年アクセスが改善されてきましたが、未だに訪れるのが困難な遺跡の一つが、コンポンスヴァイの「プレア・カーン」です。2月24日、元在カンボジア日本国大使の内藤ご夫妻を、修復チーム団長である中川武教授が御案内しました。

 

日帰りでしたが、出発から帰着まで12時間以上、その大半が悪路の車内。

調査には岩石学の専門家である内田悦生(早稲田大学教授)が同行され、当遺跡群の石材の調査を行いました。過去にも数度、遺跡を訪れていますが、今回は石材の「帯磁率」という特性を測定することが主な目的でした。過去の調査で、この帯磁率によって建造編年を分析できる可能性が確認されており、それを追補する調査となりました。

 

調査の前日には、プレア・カーン遺跡群の帯磁率をめぐって、EFEOのクリストファー・ポチエ教授、ドイツ修復隊のハンス・ライセン教授夫妻、シドニー大学の研究者らがJASAオフィスにて討議をした上での現場調査でありました。

プレア・カーン遺跡では、碑文学・美術史学より寺院の編年が推測されていますが、今回の調査によって建物の増築の経過がさらに詳細に見えてきました。(一)

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