本日は、(一財)国際開発センター(IDCJ)とJSTが三井物産環境基金を受託し、アンコール地域の水環境を若い世代で守っていくために行ってきたプロジェクトの続報をお伝えします!
水環境授業と題して、シェムリアップ淡水魚研究所の佐藤さんに授業を行っていただいたり、その授業で勉強した生徒たちが今度は先生となって後輩たちに環境や魚のことを教えたり、時にはアンコールクラウ村の水辺調査実習やトンレサップ湖での実習を経験してきたバイヨン中学校の生徒たち。
プロジェクトは9月で一区切りがつきますが、アンコール地域の水環境を守っていくためには、バイヨン中学校の生徒で代々学んだ知識を受け継いでいくことはもちろん、バイヨン中学校以外のアンコール地域の人々にも学んだことを広めていかなければなりません!
ということで、バイヨン中学校の生徒たちは地域の小学校や教員養成校などで水環境について学んだ事柄を発表することになりました。
今回のブログでは、その発表に向けて準備をする生徒たちの様子をレポートします。
教室に集まった生徒たちにまずは、JSTスタッフのタウリーさんから授業で生徒にやってほしいことについて説明がなされ…
さっそく作業開始!
生徒たちはグループに分かれて作業をしました。
具体的には以下の3つの内容について、まとめを作成してもらいました。
①トンレサップ湖実習での生徒たちの気づきや感想
②水辺の今と昔について、家の人にヒアリングをした際のアンケート結果
③これまで学んできた環境問題に対し、どのようなことを行えばよいか。また、環境を良くするために実際にバイヨン中学校で行ってきた取り組みは何か。
これらの内容について生徒がどのようなことを書いたのか簡単にご紹介します。
①トンレサップ湖を見学した生徒たちの感想は…
湖の周りにはたくさんゴミがあり、水も汚く、周囲の人は環境に気を配っている様子がなく、環境が悪いと感じたという意見が多くありました。
トンレサップ湖で学んだことだけではなく、次にやりたいことも聞いてみると、さらに清掃活動をすることや周辺の人々や水上学校を訪問し、なぜ環境を守らなければいけないのか、どうやって環境を良くしていけばよいのかという環境教育をしたいという生徒も多くいました。これから生徒たちがやる発表はまさに環境教育ですよね。少しずつ範囲が広まって、いつかはトンレサップ湖周辺でも発表の場ができたらよいなと思います。
次は②のアンケート結果について。
魚が少なくなったのはなぜだと思うかという質問に対して、生徒の親たちの答えは…
―ルールを守らず、禁止されている漁具(電気ショックで魚を獲る漁具、小さな魚も獲れてしまう網目の細かい網の使用など)を使っている人がいるから。(30人)
―浸水林や水辺の森の木を切ったから。(1人)
―川に汚い水を流し込んだから。(6人)
―産卵期に魚を獲るから。(7人)
もう1問。川に魚を増やすためにどうすればいいですかという問いに対しては…
―川をきれいに守る。(4人)
―禁止されている漁具を使わない。(3人)
―川にゴミを捨てない。(10人)
―木を植える。(3人)
―産卵期に魚を獲らない。(19人)
―川に化学薬品を流さない。(2人)
魚を獲る際のルールがあるのに、それを守らない人がいるというのは、水環境よりも商売や自分たちが食べることを優先しているからでしょうか…
最後に③これまで学んできた環境問題に対し、どのようなことを行えばよいか。また、環境を良くするために実際にバイヨン中学校で行ってきた取り組みは何か。
このテーマを担当した生徒たちは他のテーマの生徒たちとは違い小さい紙にそれぞれの意見を書いていきます。
この後、どの生徒も紙が文字でいっぱいになるまで書いていました。
ここではある1人の生徒が書いた内容を紹介します。
環境をよくするためには…
・ゴミをちゃんと捨てること
・森を切ったり、森の動物野生を殺したりしない
・たくさん木を植える
・あらゆる環境活動に参加する
・漁業の決まり(漁業の法律:産卵期を避ける、小さいときに獲らないなど)を守る
バイヨン中学校で行ってきた取り組みとしては…
・学校の入り口のあたりでゴミ拾い
・学校の敷地内に緑を増やす(お花や木を植える)
・庭のお花に水をやる
・教室内やトイレなど校内を毎日きれいに掃除する
・コントライ(人がこの草の近くを通ると服についてかゆくなってしまう)という草をとる
生徒たちは、グループごと協力して作業を進めていました。
あるグループは文字をカラフルにしてまとめていたり…
文字だけでなくトンレサップ湖や水上住宅などの絵を描いたり…
グラフを書いているグループもありました。
今回制作した資料を使って生徒たちが発表するのは来月ですが、今から生徒たちの発表が楽しみです!
コメント