こんにちは!
JSTインターン学生の仲尾です。
今回は、2月17日に行われた「アンコールクラウ村の水辺調査実習」の様子についてお伝えします。
まず初めに、この実習の概要と意義についての説明をさせてください。
この実習は、(一財)国際開発センター(IDCJ)とJSTが三井物産環境基金を受託し、
アンコール地域の水環境を若い世代で守るプロジェクトの一環として行われたものです。
カンボジアの中学生が地域の水辺を訪れ、生き物を捕まえ観察することで、水辺の実態についての学びを深めてもらい、生態系や環境への意識を高めてほしいとの目的で行われている活動です。
参加者はバイヨン中学校1年生の51名。5グループに分かれての実習となります。
今回は、日本の団体「育てる会」でカンボジア来訪中の高校生・大学生の皆さん14名も実習に参加しました。
それだけでなく、昨年9月に「育てる会」で日本に招聘されたカンボジアの青年9名も参加し、
生徒5グループと合わせて、全7グループでの実習となりました。
行程としては、まず中学校から自転車でアンコール・トムの北西環濠の脇を流れる川に行き、水辺の生物を採取します。
採取に使う道具は、カンボジアで現在も使われている投網や囲い網、手掬いカゴなどです。
1時間ほどの採取ののち、皆で川や道路のゴミ拾いをしてから学校に戻ります。
学校では、持ち帰った水辺の生物を班ごとに観察し、大きさや特徴を記録し、スケッチをしていきます。
最後に出来上がった成果物を発表し合う・・・・といった具合です。
さて、実習の様子に戻りましょう。
アンコール・トムの北西環濠に到着した参加者たち。
開始の合図とともに、カンボジアの子供たちは思い思いに散らばり、道具を巧みに使って魚を獲りだしました!
この地域で育ったバイヨン中学校の生徒たちにとって、夕食のおかずともなる魚獲りは、日常生活の一部となっているため、慣れたものです。
この男の子たちが引き揚げてきた網には…
小さな魚が引っかかっていました。
うろこがきらきらとしてきれいな魚です。
このような細長ーい魚もいます!
シェムリアップ淡水魚研究所の佐藤さんが投網の投げ方を教えています。
教えられているのは日本の学生たちです。
佐藤さんに方法を教えてもらい、いざ実践です。
素人目から見ると上手に投げられていると思ったのですが、この後水の上に網が広がらず、うまくいかなかったようです。
投網の扱いはなかなか難しい模様。
観察用の容器の中にもたくさんの魚が。
透明で臓器が透けて見える魚もいて面白かったです。
生徒たちがなにやら網の上に集まっていたので覗いてみると
またまた小さな魚がたくさん!
実習前は、どのくらい魚がとれるか全然イメージできなかった私ですが、
生徒たちが引き揚げてくる網にはこのような感じで魚が引っかかっていました。
満足げな表情でバケツを持って戻ってくるトゥオン君。
きっと大漁だったのでしょう(笑)
そんなこんなで、1時間はあっという間に終わってしまいました。
皆、もっと川にいたい様子でしたが、ゴミ拾いの時間です。
バイヨン中学校の生徒たちは、環境に関する意識が高く、校内がいつもきれいです。
そんな意識の高さをゴミ拾いにも発揮!
黙々とゴミを拾っていた生徒たちなのでした。
落ちていたごみは、たばこの吸い殻やビニール袋、お菓子の包み紙など。
短時間の間に大きなごみ袋5袋ほどがいっぱいになりました。
これまでの魚の授業からも、環境を守る大切さを認識しているであろう生徒たち。
この実習時だけでなく、常に環境に対しての問題意識を強く持ち、
積極的に環境を守るために動ける人になってほしいと思います。
その後は学校に戻り、グループに分かれて捕った魚の発表を行いました。
模造紙に捕った魚の絵、名前、体長などを書きこんで発表します。
スケッチする目がとても真剣な生徒たち。
とても絵が上手な生徒も見つけました。
自分の世界に入ってひたすらペンを動かしていたので近づくと…
こんなに上手に絵が描けていてびっくり!
この魚の特徴をうまくとらえた絵になっています。
将来は画家になれそうです。
先ほどの細長い魚、体長は23センチだったよう。
下に並べられた魚と比べると、随分大きいことがわかりますね。
観察とまとめも、バイヨン中学校生徒5グループ、育てる会の学生グループ、カンボジア人青年グループの7グループに分かれて行いました。
どのグループの模造紙も、さまざまな種類の魚のイラストがいっぱいでした。
また、カンボジアの生徒や青年たちは魚の名前もわかるようで、すらすらと紙に書いていてとても驚きました。
準備ができたところで発表タイムです。
その魚の名前、大きさが読み上げられていきます。
自分の好きな魚を紹介している子もいました!
「育てる会」の学生グループ。
カラーペンを使ってカラフルに仕上げています。
カンボジア人青年グループ。
このグループの絵がとても上手で、それぞれの生き物の特徴をつかんだイラストばかりで感動しました。
これが、各グループが発表用に作った魚のイラストが描かれた模造紙です。
観察用のバッドをじっと観察したり、魚をすくってみてみたり、はたまた手に乗せてみたり…
と生徒たちはそれぞれの方法で魚の観察を楽しんでいた模様。
目が大きかったり、口がとがっていたり…と観察で分かったこともきちんとイラストに取り入れられています。
身近な川に、こんなにもたくさんの種類の生物がいたとは…。
一口に魚といっても、形も容姿も様々でした。
生き物の多様性に改めて驚かされるとともに、
この多様な生態系を守っていくことの大切さも再認識できました。
網を投げて引き上げると、小魚がぴちぴちとはねていたのが印象的でした。
次回からはまた教室での授業に戻りますが、実際に川に行って水辺の生き物を観察したことで、
授業へのモチベーション、理解度もアップするのではないかと期待しています。
また今回、生き物の観察、ゴミ拾い、生き物のスケッチと、生徒たちがこの水辺の実習に真剣に取り組んでいる姿を見ることができました。
アンコールクラウ村の水環境、そこに住む生き物たちについて、実習前よりも興味や関心を持ってくれたことと思います。
仲尾
このプロジェクトは、三井物産環境基金2014年度活動助成を受諾し、
(一財)国際開発センター(IDCJ)とJSTが共同で行っているものです。
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