アンコール遺跡群の石はどこから来たのか?その2

クメールの遺跡たち

先日、石切場の調査についての紹介をしましたが、その後も候補地の踏査が続き、ようやく2週間ほどの調査を終えました。

これまでにもアンコール遺跡の石切場については多少の知見がありましたが、今回の調査で過去に確認されていたサイトがそのごく一端に過ぎなかったことが明らかになりました。

石材を積み上げて彫塑的な建築を形作ったアンコール遺跡には独特の造形力に満ちていますが、石切場の痕跡もまたある種独特の空間的力強さを感じました。

今回の調査でも最も大きなまとまりをもった石切場では、岩盤が大きく不整形にえぐられた空間に意匠的なものを感じるほどの迫力がありました。私自身は訪れたことがありませんが、何度となく写真で見ているインドの石窟群エローラのカイラーサ寺院の威容が、なぜかフト石材を切り出した窪地の中に浮かんでいるように感じられたのは、暑さのために朦朧としていたためか、あるいは岩盤のもつ力感のためか。。。

また、石切場から遺跡群までの運搬経路についても、踏査と車両での調査により、ほぼ確証が得られるほどに現場での確認地点を増やすことができました。1000年もの年月を経て、運搬経路が極めて良好な状態で残されていることに驚くばかりでした。

調査の詳細については論考に整理の上、紹介したいと考えています。(一)

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