カンボジアの首都プノンペンと一大観光地シェムリアップを結ぶ国道6号線の中間地点に位置するコンポントム州。この国道沿いに州博物館の開設が進められています。
これまで、コンポントム州の文化芸術局内の倉庫やサンボー・プレイ・クック遺跡群の現場倉庫に砂岩製の彫刻を中心とした遺物が保管がされていましたが、それらのいくつかをこの博物館にて展示する予定です。現状の倉庫には、出土遺物・盗掘の危険を回避して運び込まれた遺物・既に盗掘されたものを警察が押収して運び込んだ遺物、等が多数保管されています。
新設される博物館も、規模が極めて小さいために、展示される遺物は数が限られている上、展示計画がないままに、建物の建設工事、さらにはマウントのための台なども設置が完了しています。このように全体計画を得ないままに進められてしまった一連の作業のために、展示物の選定やテーマの設定などが困難な状況になっています。
カンボジア各州には、近年こうした新しい博物館が少しずつ建てられるようになってきていますが、展示のためのノウハウが蓄積されるようなことはなく、展示の質が向上しないのが残念なところです。
コンポントム州の博物館では、今後、早稲田大学建築史研究室が展示パネルの作成等の支援をすることになりました。展示計画の調整をしながら、展示遺物の内容を掘り下げることができるような解説を加えていきたいと考えています。(一)
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