1月半ばに開始されたバイヨン寺院での発掘調査ですが,早二ヶ月が経ちました。これまでにバイヨン寺院外回廊の南側3カ所で発掘調査を進めています。
最も大きなトレンチは外回廊から寺院周回路までを横断するかなり長いものです。寺院建立とその後の増改築の過程や年代を推定するために有用な様々な痕跡や遺物が収集されています。
このトレンチの西側,外回廊の基壇側壁の排水口から外側に広がる地点での発掘調査では,外回廊からさらに周囲へと延びる暗渠が発見されました。この発見はカンボジアの英字新聞Cambodian Dailyにも紹介されました。この暗渠の精査はこれから行っていく予定です。
3番目,東側のトレンチでは,バイヨンを囲繞するラテライトの周壁を確認することを目的としています。この調査により,ラテライト周壁は人為的に取り壊され,歩廊とされた可能性が得られています。また,この周壁の増築時期については既往の認識年代とはやや異なる可能性が高まってきています。
発掘調査は4月以降にも部分的に継続する予定ですが,5月からは雨季が始まりますので,雨水や地下水との困難な勝負になることでしょう。(一)
本調査は日本政府文部科学省科学研究「アンコール遺跡における出土貿易陶磁器の様相解明(研究代表:山本信夫)」によって行われています。
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