バイヨン中央塔におけるボーリング調査

3月16日より5日間,バイヨン中央塔ではボーリング調査が実施されました。

 

この調査は2008年8月に実施した解体発掘とハンドオーガーによるボーリング調査と2009年2月に実施した西塔内の発掘調査に続いて行われたものです。調査には地域地盤環境研究所の岩崎好規先生と,肥後地質調査の福田光治先生が参加され、現場管理にあたりました。

 

昨年8月には,中央塔の地下構造を解明することを目的としてハンドオーガーにて床面より8.41mの深さまでボーリング調査を行いました。しかしながら,人力作業でのボーリングはこの深さで限界となり,それ以深の構造は判らないままとなっていました。

 

今回は,プノンペンより運ばれてきた小型のボーリング機械を,中央塔の室内に設置し,より深い基礎構造を探ることが目指されました。

 

3月第2週中に,中央室内の現本尊は前室に移動され,立ち入り禁止のフェンスの設置や,ブルーシートによる覆屋の設置などの準備が行われました。

3月15日にプノンペンより運ばれてきたボーリング機械は,16日に中央塔まで運び上げられ,設置はほぼ完了,一部狭い室内形状に合わせるために,機械の一部を町工場で加工するなどの作業が生じましたが,17日の朝10時40分から試運転に入ることができました。

 

ボーリング機械は貫入ロッドなどを上下するためのモーターと,スクリューオーガーを回転させるためのモーターの二つが取り付けられていますが,当初はモーターの調子が悪く,モーターからの真っ白な排気が室内に充満し,またひどい振動で塔への悪影響が心配されました。機械の下には振動吸収のための土嚢袋が設置されていましたが,それでも不安が持たれるほどでした。そのため,吸気のためのダクトを急きょ設置し,また,塔室内の壁体の変形が生じていないことを観測するために,レーザー変位形が取り付けられました。

 

昨年,ハンドオーガーにてボーリング調査をした穴には,塩ビ管によるケーシングを残していましたので,これをガイドにボーリングロッドを挿入しました。

 

ボーリング調査では,貫入強度試験とオールコアサンプルを目的としました。

コアサンプラーにて自然落下の標準貫入試験を50cm実施した後に,孔壁整形のためにスクリューオーガーを同深度まで貫入するという作業を繰り返しました。

途中,ノッキングヘッドが破損するという事態に見舞われましたが,溶接してなんとか再使用することができました。

 

調査は当初より床面下20mが目的深度と設定されていましたが,19.5mの深さまで到達することができ,ほぼ当初の目的を達成しました。

 

また,このボーリング孔には将来的に地下水位の計測ができるように,塩ビ管を地下16mまで埋設しました。

 

調査結果についてはここでは詳しくご紹介できませんが,近い将来,公式な調査報告書にてお伝えしたいと思います。(一)

 

*本調査は㈱竹中工務店からの研究助成を得て進められています。

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