中央塔の発掘調査 その7

バイヨン中央塔の研究

屈強な作業員8人がかりで,第6塔室内に設置されていた台座が移動されました。その下には,過去に盗掘孔が埋め戻された際の玉石がたくさん詰め込まれていました。

盗掘孔を再度掘り下げる調査が始まりました。土砂に混ざって,拳大の石がたくさん取り出されます。これらの玉石は,砂岩と礫岩とが混ざっており,砂岩の中には連子子の一部や台座の端片などが含まれています。

バイヨン寺院では,建物の基礎となる班築土の中には割栗石として礫岩が混ざっていますが,通常、砂岩は基壇内部の割栗石には利用されていません。つまり,砂岩と礫岩とが混ざっているということは,盗掘孔は建立当初,礫岩混じりの版築土によって埋められていたことが推測されます。周囲に散乱していた砂岩片がこの版築土に混入し,再び盗掘孔の埋め戻しの際に利用されたと想定されるのです。

徐々に掘り下げてゆくと,床面をなす砂岩敷きの下層には砂岩一層とラテライト一層が確認され,床面から約72cmの深さで,穴の側面は版築層となりました。盗掘孔の底はまだ玉石混じりの土砂が溜まっており,さらに掘り下げてゆきます。

穴はやや楕円形にゆがんでいますが,直径60cm程の大きさで,人がようやく一人入れるサイズ。作業は深くなるにつれて厳しいものとなってきます。髪の毛はもはや砂まみれ。

床面から約1mの深さで玉石はなくなり,きれいな土が見えてきました。埋め戻しはそろそろ底に近くなり,オリジナルの土が出てきているようです。

と,そのとき細長い陶器が穴の隅に横たわっているのが目に入りました。これはもしや鎮壇具の一部が盗掘をまぬがれて残っているのではないか・・・。との淡い期待がよぎりましたが。

今のところ,まだ正確には分かっていませんが,燭台の一部であるようです。クメール陶器にはあまり類例がありませんので,今後調べてみる必要があります。また,これが当初から埋設されていたものの一部であるのか,埋め戻しの際に混ざっただけのものであるのか,今後検討を要するところです。

この出土からほんの5cm程で,穴のはきれいな版築土となり,オリジナルの土層と判断されるに至りました。

しかしながら,昨年実施した中央塔の主室での発掘調査と比較しても,版築土は緩く,私たちがよく利用している山中式強度計からも高い数値は得られません。

さらに,これが本当に盗掘孔のそこであることを確認するために,穴の底を断ち切ってみましたが,やはり下層には埋め戻しの土は見られず,これがオリジナルである可能性が高いものと判断されました。

その後,この底からハンドオーガーを入れて下層を確認しました。最初2本は20cmほどの深さで石材にあたってしまいましたが,3本目は103cmの深さまで貫入され,穴の底から均質な砂質土であることが確認されました。

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