今日は、修復事業の団長である中川武(早稲田大学教授)が発掘現場を訪れました。
室内のクリアランスの結果,第6塔の台座の下にも,盗掘孔が埋め戻されている様子が確認され,台座を一度移動し、この盗掘孔の埋め戻し土砂を除去して,地下の構造を確認するために掘り下げる調査が決定しました。
ここ第6塔の室内中央には台座が設置されています。しかし,この台座は後世に運び込まれたものであることは明らかで,もともとは長方形の台座であったものを,正方形になるように欠き割って再利用されたものです。バイヨン寺院では,当初の台座が原位置に残されているものはほとんど見られません。当初は各塔の台座の上には神像が安置されていたはずですが,現在では神像となる石製彫刻が安置されている部屋はまれで,それらの神像もオリジナルのものではありません。
また,多くの部屋では,台座も失われており,台座がある場合でも,それらは後世にどこからか運び込まれたものにすぎません。バイヨン寺院では,いつの時代にか盗掘が横行し,神像の据えられた台座は移動され,その下に埋設されていた鎮壇具をねらった縦穴が掘り込まれました。
現在進められている南経蔵の修復工事では、盗掘はされていたものの、鎮壇具の一部が出土するという貴重な発見がありました。
バイヨン寺院では、南経蔵以外にもまだ建立当初の鎮壇具が眠っているかもしれません。(一)
*本調査は㈱竹中工務店からの研究助成を得て進められています。
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