今年度前期最後(5校目)の環境調査&ワークショップ対象校はドンアウ小学校。
アンコールトム北門を抜けて、さらに北上したところにあります。
近隣住民の生活調査では、他の小学校の地域と同様、トイレがない家が半数以上、家電製品を持っている家は一軒もなく、生水をそのまま飲んで生活している、というような生活実態が浮かび上がってきました。
←近隣住民の生活調査インタビューの様子
ドンアウ小学校の生徒数は650人。
他の学校同様、海外のNGOや個人旅行客などの寄付をたよりに、校舎の整備をすすめ、図書室に本や本棚をそろえたりしていることがわかりました。
(以前にも書いたことがありますが、国から各小学校に出している年間予算は、生徒一人当たり、約100円で、テスト用紙の印刷代などであっという間になくなってしまうとのことです。)
←ドンアウ小学校の校長先生へのインタビューの様子
そして、7月16日。
1年生から4年生まで167人を対象に、環境ワークショップを行いました。
この日は、このプロジェクトの共同パートナーである(一財)国際開発センター(IDCJ)の寺田さんも日本から参加してくださいました。
アンコールクラウ村の青年グループによる発表は、カン・チンくんが描いた絵を見せながらの説明です。ときどき質問や笑いを交えたわかりやすい説明に、小さな生徒たちも最後まで真剣に聞いていました。
「環境」「衛生」「森林保全」についての発表後は、生徒たち全員が校庭に散らばって、あらかじめ掘っておいた穴のなかに、苗木を植えていきました。
今回は、校長先生の要望により、マンゴーの苗木20本、コキの苗木80本です。みんな、用意はいいかな?
穴に肥料を入れて、苗木を植え、そして土をしっかりかぶせます。アンコールクラウ村のお兄さん、お姉さんたちが手伝ってくれました。
牛に苗木を食べられないように、柵もしっかり作って、さあ完成。みんな、沢山の苗木を植えて、とても満足そうでした。
最後に、生徒全員に配った、IDCJ-JSTオリジナル絵本『森はともだち』。さっそく、声を出して読み始める子も。
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今回で、今年度の対象校5校の環境ワークショップ10回がすべて終わりました。
この間、アンコールクラウ村の青年グループの仲間は徐々に増え、総勢20名となりました。
そして、彼らの生徒たちへの環境に関する説明も、見違えるほど上手になりました。
また、近隣の村の住民の生活に触れることによって、カンボジア農村部の実態が少しずつ見えてきましたし、
さまざまな教材が足りない中、カンボジアの小学校の先生方の工夫と情熱によって、各小学校が支えられている様子もよく理解できました。
そして、一番の成果は、これらの活動を通して、村の青年グループ一人一人が、自分たちの国を少しでもよくするために、自ら考え、行動を起こすようになったことだと思います。
村の青年グループは、1年前から、全員、日本語を習い始めました。
(自らの希望で、JSTスタッフのタウリーさんに先生になってもらいました)
1か月前からは、パソコン指導も受けています。
(パソコンは、日本で使われなくなった中古ノートブックPCです)
先週は、スタディツアーで訪れた日本の高校生26人を前に、英語で、この環境活動について、プレゼンテーションを行いました。
(下の写真がそのときの様子です。わかりやすいよう、自ら地図を描いて説明するカン・チンくん。南を上側に、北を下側に描くのには驚きましたが・・・・。)
このプロジェクトはあと1年半続きますが、その後も、このアンコールクラウ村の青年グループ自らの活動が継続すれば、きっと、とてつもない可能性が開けてくるのではないか・・・・・そんな予感がしているところです。ご支援くださっている皆様、ありがとうございました!
(よ)
本プロジェクトは、三井物産環境基金「第2回活動助成」を受諾し、(一財)国際開発センター(IDCJ)と共同で活動を行っているものです。
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