ユネスコ専門家のバイヨン視察

バイヨン修復現場から
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シェムリアップにて毎年2回開催されているアンコール遺跡群の保存開発のための国際調整委員会(ICC)が6月6,7日に開催されました。ICCに先立ち,ユネスコの専門家,アドホックメンバーが各修復サイトを視察にまわりますが,今回は6月4日にバイヨン視察となりました。

JASAは第四次フェーズが開始され,バイヨン寺院でも様々な新たな事業が開始されています。今回のサイトビジットではこうした事業を包括的に紹介することとなりました。

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新設したばかりのバイヨンハットにて事業の広報活動を説明することに始まり,外回廊隅塔の修復工事,外回廊浮き彫り壁面の散乱石材同定調査,参道脇の沐浴池の考古学的研究,内回廊の浮き彫り保存研究,中央塔の基壇安定化の研究,中央塔上部石積み構造への補強設置案の検討,そして参道と回廊の石彫の修復事業の計画についてそれぞれ順にまわりました。最後にはプラサート・スープラの近くにおいて進めている本尊仏の修復・模刻事業の製作現場へと足を運びました。

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ユネスコからは4名の専門家が視察に来られましたが,各所にて様々な質問と協議があり,今後の方針を検討する上でたいへん有益な場となりました。

特に,今回の視察で重要な課題であったのは中央塔の基壇安定化に関する研究で,これまでの各種調査に対して専門家から高い興味が示されました。過去の発掘孔の補強工とテラス上面の遮水処置については十分な必要性が認められ,今後より具体的な工法を検討する段階に入りました。

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ICCは今回からアプサラ機構の事務所ホールにて開催されることになりました。2日間にわたり,実に様々な修復・研究・開発事業についての報告があり,遺跡の保全に対する多様なアプローチがあることを改めて感じる場でした。

また,ICCの翌日にはJASAオフィスにてアンコール遺跡群の構造と水利を議論するワークショップを開催しました。ICCでは広い分野にわたる多数の発表が続きますが,それぞれの報告に対する技術的な議論をする時間が極めて限られています。こうした中,現場で修復計画を立案している主要メンバーが顔を突き合わせ,具体的な議論を交わす場は公式にはあまりありません。今回のワークショップでは特にアンコールの水環境において基壇構造の安定化について深く意見を交換する貴重な機会になりました。(一)

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