バイヨン寺院中央塔の構造的補強処置の研究を目的として、塔の基礎構造となる中央テラスの内部調査を開始しました。
2010年にも中央テラス上南側において鉛直と斜ボーリング調査を実施しましたが、これらの調査によりテラス上に約30mの高さで聳える中央塔の直下には石造の組積支持構造はなく、版築土のみによって支えられていることが判明しました。しかしながら、この版築土が周囲に変形したり流出することを防ぐために、周囲にはドーナッツ状にラテライトの囲繞構造があることが確認されました。
この時の調査は新聞記事としても紹介されました。
今回のボーリング調査の目的は、前回確認されたラテライト構造の形状、特に外郭の形状を特定することにあります。
ボーリング調査は前回の調査に引き続き西部試錐工業の北村篤実氏、井手善明氏の協力を得て行われ、サンプルされた岩石や土砂の分析や強度試験には肥後土質研究所の福田光治氏があたり進められています。
今回のボーリング調査は中央テラスの側面を水平に掘進するもので、大型の機材を設置することに苦労しました。
また、基壇内部の版築土の強度を測定するためにコーン試験を併せて行っています。
三月という観光にとってはハイシーズンの中、多くの観光客が興味津々に作業を見守る中で調査が進んでいます。計3本のボーリング調査を約2週間にて実施の予定です。(一)
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