大プレア・カーン遺跡群の調査

クメールの遺跡たち

4月末から5月初めのゴールデンウィーク期間中にコンポン・スヴァイの大プレア・カーン遺跡群での調査を行いました。

この古代都市は一辺4.5kmの環壕に囲繞された、外郭構造を有するクメールの都市の中では最大の規模を誇ります。これまで中心部や内部に散在する寺院の研究が行われることはありましたが、都市の全容を解明することを目的とした研究はほぼ皆無でした。

今回の調査は、都市の外郭構造の規模・大型貯水池バライの規模・各寺院をGPSをもって測量することで、この古代都市の配置計画の復原研究を目的としました。

外郭の環濠は幅が200m以上もあり、その内外は土塁によって形作られています。環濠の中に立つと、長大な二列の土塁に挟まれて距離感覚を失うほどです。また、貯水池を形成する土塁もまだ壮大な景観を呈しています。

都城内部は水田耕作地も多く、若干の住民もいますが、大半はジャングルで足を踏み入れることができない土地でした。調査は雨季に入りつつある時期であったため、すでに大地はぬかるんでおり、場所によっては調査地区への移動は困難を極めました。また、遺構も既に青々と茂った下草に覆われ始めており、それらの測量は手こずらされました。



雨が降り始めた時期ではあるものの、日差しはきつく、炎天下の中での作業が続きました。特にGPSの計測は上方が開けた所で実施しなくてはならないため、木陰に隠れることができず、過酷な作業となりました。

(上の写真右下と左下で測量しているペアがいます)

 

今後測量データの解析と分析に入りますが、プレア・カーン遺跡群の他、アンコール遺跡、ベンメアレア遺跡等とも関連させた都市の平面配置計画の解明につながることが期待されるところです。(一)

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