西バライでの音波探査

クメールの遺跡たち

西バライの湖底状況を調べるための音波探査を行いました。探査は大阪市立大学 都市地盤構造学研究室の原口強先生が実施しました。また、現在カンボジア留学中、JASA考古班の中松万由美がサポートのためにボートに乗り込みました。

アンコール遺跡群には大型かつ複雑な水利施設が残されていますが、中でも巨大な貯水湖は目を引きます。西バライ、東バライ、北バライ、インドラタターカなどの他にも多数の貯水湖が配置されていますが、今でも水を良く湛えており、最大規模を誇るのが東西8km、南北2kmの西バライです。

こうしたバライがなぜいくつも築造されたのか、ということ、またこれらのバライがどのような目的に利用されていたのか、ということについては未だに議論が絶えません。

巨大な人口を支えるための農業用水として造られたが、堆積土によって機能不全となり新たなバライが新設されたというのが、一般的な解釈です。

また、西バライの東側は8世紀ごろの都市址であり、地下に何らかの遺構が埋蔵されている可能性も窺われます。

こうしたいくつかの課題に取り組むために、西バライの湖底調査を行いました。

調査はボートに取り付けた音波探査機で湖底の状況を観察・記録していくというものです。借り上げたボートはカンボジア国旗が風を切ってはためきながら力強く進みましたが、途中でガス欠になり漂流するといった事態にも遭遇しました。

調査測線を正確にコントロールし、また記録するために、GPSで逐一原位置のトラック情報を確認し、また湖底の状況をパソコンのモニターで観察しながら調査は進められました。


いくつかの興味深い湖底形状が観測されるなど、今後の分析が待たれるところです。(一)

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