続・バイヨン中央塔における発掘調査 その1

バイヨン中央塔の地下構造に関する調査としては,昨年から次のような調査を実施してきました。

2008年8月 中央塔主室内北西象限における発掘調査

2009年2月 中央塔西前室および第6塔(西塔)における発掘調査

2009年3月 中央塔主室内におけるボーリング調査

 

こうした一連の調査に引き続き,中央塔主室内北東象限において,3月23日から発掘調査を実施しました。これから三回に分けて,この調査の経過を報告したいと思います。

 

3月23日,その前の週に実施したボーリング調査に引き続く発掘調査となりました。遺跡群の管轄組織であるアプサラ機構から許可されていた立ち入り禁止を伴う調査期間は,残り4日間と迫っています。今回は発掘調査の実施を見合わせることも検討されましたが,再び調査許可を得るのはまた困難が伴うこともあり,短い日数ではありましたが,作業員を増員し,これを実施する運びとなりました。

 

今回の調査の目的は非常に明確なものでした。つまり,昨年8月に実施した主室内北西象限では壁体直下に支持構造があるか否かが十分には確認されず,また今年2月に実施した西室でもこれについて確実な結果が得られなかったため,再度,別のエリアで壁体下の構造を確認しようとするものです。

 

ボーリング調査が終わったばかりで,ボーリング機器からの養生のための土嚢袋が敷き詰められている室内をクリーニングしながら,床石の解体を開始しました。

昨年の発掘調査で,すでに床石下の状況については把握されていたので,作業は速やかに進められ初日にして既に最上層の床石,第二層の端材層,そしてその下の埋め戻しも必要な深度まで掘り下げることができました。(一)

 

*本調査は㈱竹中工務店からの研究助成と,科学研究費と文部科学省科学研究補助金「アンコール遺跡における出土貿易陶磁器の様相解明」(研究代表者 山本信夫)の協力を得て進められています。

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