中央塔の発掘調査 その11

中央塔の上部荷重を支えている壁体の下の構造を確認することが、今回の発掘調査の最大の目的でした。

中央塔西室でこれは断念し、第6塔でこれを確認しようとしましたが、先日、壁体足下の敷石を解体したところ、やはりこれ以上の解体は難しいと断念し。。。

しかし、今日はこの掘り下げてきた発掘穴より側面に水平ボーリングを入れて、これを確認することに挑戦しました。

人力のボーリング、ハンドオーガーです。

通常、ハンドオーガーの専用のスティックがありますが、これは長すぎて、かがむのも一苦労な狭い発掘穴の中では使えません。

そこで、今回は掃除機の吸い込みパイプを改造して、手製のスティックを準備しました。スティックの先を波形に切り込んで、先端で掘削できるようにしたのです。これで掃除機は通常どおりには使えなくなりました。

まず、穴の北面に一本、このスティックを差し込みました。

しかし結果、たった15cmでラテライトにあたり、断念。

こりずに、その脇10cmほどで再挑戦しましたが、やはり15cmでラテライトにはばまれ断念。

しかしこれに懲りず、再びその脇で三度挑戦。

堅い土層にはばまれて難航しましたが、結局1.5mの深さ(水平長さ)まで差し込まれました。この長さは第6塔の壁の直下よりも大きく奥まで貫入しているものです。つまり、この結果から壁体の直下にはラテライト層はないものと推測されたのです。

南面でさらに2本、ここでは54cmと78cmでラテライトにあたりました。壁体直下にほぼ相当する長さです。

さらに東西面で実施しましたが、途中で土中の栗石にあたったりして掃除機のパイプがもつ最大限の能力を発揮できずに終わりました。

最初に実施したハンドオーガー2本の15cmという最短記録のエリアでは、その後、側壁を切り崩してラテライト自体を確認することとなりました。すると、ラテライトが4材、一列に積み重なっているのが確認されたのです。

これは全くランダムな構造です。たしか、EFEOが過去に第12塔内で縦穴を掘り下げた調査でも同様に土中から不規則な石材が検出された記録が残されています。アンコール・ワット中央塔の発掘調査の報告の中にもやはり同様の記載と図面が見られます。

こうした不規則な土中の石積みはいったい何を意味しているのでしょうか?(一)

 

*本調査は㈱竹中工務店の研究助成を得て進められています。

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