中央塔の発掘調査 その1

バイヨン中央塔の研究

「今日のバイヨン」ようやく初めてのバイヨン寺院の紹介となります。

 

バイヨン寺院では,1994年より「日本国政府アンコール遺跡救済チーム」によるさまざまな活動が進められています。今後いろいろな調査研究,そして修復活動についてご紹介できると思いますが,今日からはシリーズ「中央塔の発掘調査」をしばらくお伝えします。以前から,発掘調査の経過をライブな感覚で伝えられたら面白いだろうなと思っていましたが,ここでそんな雰囲気を試してみましょう。

 

バイヨン中央塔は,専門家によっては「いつ壊れてもおかしくない」と言われるほどに構造的に不安定である可能性が指摘されてきました。この塔の安定性・安全性を評価し,危険であるならば,適切な処置を施すための研究が進められています。

地上より42mの高さに達するこの中央塔は,上部の石積みが変形して倒壊にいたる危険性と,地下の基礎構造が変形して崩壊にいたる場合の2つの可能性が考えられます。

 

2008年8月に,後者について,つまり中央塔の構造を確認すべく発掘調査が実施されました。調査の結果,中央塔を支えている壁体の直下には石積みが存在せず,突き固めた砂によってのみ支えられているという可能性が高まりました。しかしながら,これだけ大きな加重を支えている基礎を砂で支えているとはいささか信じがたいところです。まさに「砂上の楼閣」ではないかというのです。

 

そこで,中央塔の基礎構造の追調査をこのたび2月2日より開始する運びとなりました。

今回は中央塔の西室にて敷石を取り外して発掘調査を行います。

調査許可を得て,すでに室内の平面図や断面図の記録は終えています。立ち入り禁止のフェンスと立て看板が設置され,本格的な調査初日となる今日は,安全祈願式から始まりました。

そしてようやく一つ目の石材が・・・取り外されました。(一)


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*本調査は㈱竹中工務店からの研究助成を得て進められています。

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