スオスダイ(こんにちは)!JSTインターン生の榎本です。
少し遅くなってしまいましたが、先日オアシスの方々と共に
バイヨン中学校の生徒たちが通っていた5つの小学校を訪問してきました。
今回は、その時の気付きや感想をお伝えさせて頂きます!
まずは5つの小学校とバイヨン中学校の位置関係について。
少し見づらいですが、写真で指を指しているところがバイヨン中学校です。そしてその周りを囲む5つの吹き出しが5つの小学校です。見てもわかるようにバイヨン中学校は5つの小学校の中心に立地しています。
私たちが最初に向かったのはプラサートチャッ小学校でした。
ここへ向かうまでの道は
まさにディズニーシーの乗り物のインディ―ジョーンズのような道のりです。
ガタガタボコボコとした道がずっと続きます。
特に雨が降った翌日などは道が余計に悪くなり、自転車で通学する生徒たちは非常に大変です。
小学校はこの日お休みだったため、先生にお話を聞くことはできませんでしたが、
生徒たちが何人か学校にいたので学校について聞くことができました。
この小学校は生徒数に対して教室数が十分ではなく、
いくつかの学年が同じ教室で授業を受けているそうです。
教室の広さも十分ではなかったため授業は少し聞きにくいのではないだろうかと思います。
次はコックルール小学校に行きました。
コックルール小学校は他の小学校に比べると生徒数が少なく、
現在の在籍人数は123名だそうです。
先日一宮中央ロータリークラブの方と共にコックルール小学校に再度訪問した際に
学年ごとに並んでくれたのですが、
そのときの6年生の人数の少なさは明らかに見て分るものでした。
この理由については後ほど説明します。
その次はコックベイン小学校へ行きました。
コックベイン小学校は遊具が非常に充実していて
他の小学校にはない最先端遊具が設置されていました。
このように図書館もしっかりしていてこの学校はすごいな~
と思っていると一つの教室がとてもオープンな教室でした。
黒板の反対側は壁がなく、遊具や図書室が充実してるだけにどうしてだろうと感じました。
そして次はアンコールクラウ小学校に行きました。
こちらの小学校は、最初、JST代表のチアノルさんの養父である後藤文雄神父の支援によって7教室建てられましたが、その後、カンボジアの僧侶の寄付によって3教室、NPOオアシスの皆さんが申請してくださった助成金で2教室が増築されたとのことです。
この小学校もお休みだったので先生がおらずお話は聞けませんでしたが、
校舎は立派で壁に絵が描かれていたりして素敵でした。
最後に行ったのはコックタナオ小学校です。
この小学校はアンコールトム遺跡のすぐ西に位置する貯水池である西バライの
すぐ近くにあります。この学校は行くまでに坂道などが多く、生徒たちは通学に苦労しているだろうと思いました。
こちらも学校がお休みで先生がおらず、
柵の外からしか校舎を見ることしかできませんでしたが立派な校舎が建っていました。
学校から少し歩くととてもすてきな西バライの夕焼けが一望できました。
5つの小学校を周った感想としてもったのは、
本当に小学校一つ一つによって施設の充実性が違うなということです。
遊具はピカピカなのに生徒数に対してトイレが少なかったり、
先生が少なかったり、教室が少なかったりと、いろいろな問題がありました。
この問題というのは私たちが客観的に見て問題だと思っただけで実際に通っている生徒たちにとってこのことが問題なのかどうかは分かりません。
ですが、この5つの小学校を卒業してバイヨン中学校に通ってくる生徒たちの学業レベルは決して十分といえるものではありません。
この状況を改善するためにバイヨン中学校での教育の質を
もっと高めていくことも大切ではありますが、
まずはボトムアップとして小学校の教育の質を高めていかなければならないと感じました。
そのためには先生の数を増やしたり、
教室数を増やしたりなどのサポートが必要かと思いました。
そして一番の問題である生徒たちのドロップアウト(中途退学)率の高さにも手を打たなければならないと思いました。
このグラフは2010年にそれぞれの小学校に入学した生徒たちが2016年の卒業時にどれだけの人数になっているかを示したものです。
学校名 |
1年生 |
2年生 |
3年生 |
4年生 |
5年生 |
6年生 |
アンコールクラウ |
200 |
150 |
102 |
79 |
70 |
67 |
コックベイン |
64 |
65 |
35 |
24 |
23 |
21 |
コックタナオ |
82 |
69 |
81 |
59 |
51 |
43 |
コックルール |
30 |
22 |
21 |
24 |
18 |
17 |
プラサートチャッ |
48 |
46 |
46 |
42 |
34 |
38 |
合計人数 |
424 |
352 |
285 |
228 |
196 |
186 |
一番上のアンコールクラウ小学校を見ていただけると一番良く分かると思うのですが、小学校1年生の時に200人いた生徒が卒業時には半分以下の67名となっています。
こういうように学校をドロップアウトしてしまう生徒が非常に多いのが
カンボジアの教育の問題点です。
正直私はこの数字を見たときに唖然としてしまいました。
もし自分がこの学校の生徒だったら次々に同級生が辞めていく姿を見ながら過ごすことになり、きっと悲しいだろうなと思いました。
そして実際に辞めていく生徒たちはどういう思いで辞めていくのか…。
と考え込んでしまいました。
ドロップアウトしてしまう理由の多くは家庭の事情です。
家族の仕事の手伝いをしなければならない、妹や弟の面倒を見なければならない、
小学校で必要な諸費(文房具や制服など)を買うことができない、など。
教育を受けなくても農業をすれば生きていけるし、
家の周りにあるたくさんの果実を食べれば生きていける。
そういった考え方の親も多いようです。
もちろんその生き方を否定することはできませんが、せめて小学校、中学校に通ってそこで興味のあるものと出会い、未来の選択肢を増やしてほしいと思うのです。
人の意識を変えることは決して簡単なことではないですが、
小学校や中学校での学びを生徒たちが純粋に楽しい!
と感じてその姿を親に伝えていくことで教育の大切さを生徒たちが発信していければと考えます。
もちろんそれだけでは足りないので周りのサポートが必要です。
私自身もこちらで生徒たちと関わる中でどうにかここに貢献したいと思います。
これからもブログを通してカンボジアの教育事情について紹介していきたいと思いますので、
是非この シェムリアップにある5つの小学校やバイヨン中学校のことを応援して見守って頂ければと思います。
よろしくお願い致します。ありがとうございました。
榎本
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