昨年末、東京の聖心女子学院高等部の皆さんからJST宛てに寄付金が送られてきました。カンボジアの洪水被害のニュースを日本で知り、被害地域の住民へ何か食糧を、とのことでした。
カンボジアは、今はすでに乾期の真っただ中ではありますが、JSTでは、昨年、水害により米の収穫が減ってしまった地域の小学校へ、食糧を持って行くことにしました。
何を持って行ったらよいか迷いましたが、子供向けということ、多人数に配布しやすいもの、ということを考慮して、ラーメンとお菓子にしました。金銭がなければ手に入らないラーメンは、貧困地域ではとても貴重で、たいてい、ご飯に混ぜて、おかずとして食べるそうです。
また、そのような地域の子供たちはお菓子もめったに食べる機会がないので、きっと喜ぶことでしょう。
訪問した小学校は、バンテアイスレイ郡にある、次の2校です。
1)トウクロース小学校 生徒数198名 先生5名
2)オーマヌーッス小学校 生徒数220名 先生3名
予想していたとはいえ、学校や生徒の貧しさに驚きました。
周りは焼畑により高い樹木がほとんどなく、
キャッサバ(イモ類)畑は広がっているのですが、荒涼とした大地にぽつんと小学校がある、というロケーションでした。残念ながら、このキャッサバは食用ではないそうです。
どちらの小学校の生徒も、朝から、私たちが到着するまで、校庭に並んで待っていたそうで、特に、2番目のオーマヌーッス小学校には11時半に到着したのですが、朝6時半から、何をもらえるかと楽しみに待っていた生徒もいたそうです。しかも、朝ごはん抜きで、お腹をすかせながら・・・・。ですので、一人一人にラーメンとお菓子が配られると、皆、ほっとした面持ちで、にっこりと笑顔を見せていました。
ほとんどの生徒は、朝ごはんを食べられず、一日2食で生活しているとのことで、洪水被害がなくとも、一年中、とても貧しい地域だということがわかります。父親の職業を聞いたところ、約7割が軍人とのこと。しかも、父親は地雷で手足を失った人がほとんどだそうです。
子供たちの頭にはシラミとシラミの卵がたくさん付いていて、髪の毛を洗わないのかと聞いたところ、水がないので洗うことができないと答えが返ってきました。
このような状況を目の当たりにすると心が痛みますし、カンボジアはまだまだこのような学校ばかりなのだと思うと、私たちができることのあまりもの微力さに途方に暮れる思いでした。
しかも、この2つの小学校は、世界中からの観光客でにぎわうバンテアイスレイ寺院遺跡のすぐ裏側に立地しているのです!!観光による莫大な収益が地元住民にほとんど還元されていない状況に、何のための世界遺産なのか、という疑問もわいてきます。
とはいえ、今回、この子たちに、少しですが食糧をわけられて、とてもよかったと思いました。聖心女子学院の皆さん、ありがとうございました!
そしてもう一つ。
救われる思いだったのは、途中、日本人がつくったとみられる小さな寺子屋のような学校があったこと(漢字が書かれた看板が掲げられていました)。そして、トウクロース小学校の校舎は、日本人の寄付によってつくられたということ。。。。
私たち一人一人ができることは微力ではあっても、一人一人が実際に行動していくことが大切なんだということを実感しました。
1)トウクロース小学校にて
ラーメンとお菓子が配られると、皆、にっこり嬉しそう・・・・。
2)オーマヌーッス小学校にて
右端に写っている人がオーマヌーッス小学校の校長先生です。
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