2013年10月12日(土)
JSTプロジェクトコーディネータの小出陽子です。
半年ほど前から私のPCの調子が悪く、JSTのホームページにさえアクセスできない状況が続き、ブログ更新ができなかったのですが、ようやく新しいPCを日本から取り寄せ、仕事場のネット環境も改善されところです。
それに合わせるかのように、JST創設のバイヨン中学校が、今日、ついに開校しました!
これまでご支援くださったみなさん、本当にありがとうございました!!
カンボジアの学校は、10月1日が始業の日。
けれども今年は、7月下旬に行われた総選挙の影響で、前年度の中学、高校の卒業試験が延期になったため、今年度の中学校の始業も遅れているような状況です。
そのような理由で、本格的な授業開始は来週からとなりますが、今日は、生徒の初顔合わせの日でした。
JSTを日本から支援してくださっているNPOオアシスのメンバーと、JICAのBOPビジネス支援プロジェクトを立ち上げ、アンコールクラウ村で活動を始めた輝水工業の梶さん、チョビットさんと、朝からバイヨン中学校を訪ねてきました!
校長先生が事前に調べた生徒の年齢は、
11歳3名、12歳27名、13歳34名、14歳33名、15歳23名、16歳6名、17歳4名、18歳3名といった状況で、かなりの幅があることがわかります。
この中には、一昨年、小学校を卒業したものの、シェムリアップ市内の中学校は遠すぎて通えずに6年生を2回繰り返し、昨年、家から5kmのところにできた新設中学校・クヴィエン中学校に入学したものの、それでも遠いという理由でこれまた数か月で退学せざるを得ず、この中学校開校を待ち望んでいた、というような生徒もいました。
133名の生徒のうち、アンコールクラウ小学校の卒業生は71名です。
これまで、アンコールクラウ小学校1年生に入学する生徒は200名ほどいるのですが、6年生まで通うことができるのは約60名、さらに中学校へ進学していたのは10名だったことを考えると、この学校ができたことによって、村の子供の進学率が飛躍的に伸びたことがわかります。
現時点では、地域の4つの村の小学校を卒業した生徒のほぼ100%が、このバイヨン中学校に進学しているのではないでしょうか。。。。近いうちに、詳しく調査してみたいと思います。
生徒が着ている新しい制服には、胸のところに、「バイヨン中学校」と刺繍されています。
皆、少し緊張気味ですが、とても嬉しそうですね。
生徒たちにいくつか質問をしてみました。
「この中学校ができなかったならば、中学校進学をあきらめていた人!」・・・・全体の約1/3。
「将来、何になりたい?」・・・医者、教師、メークアップアーティスト!(←男子生徒でした!)
「この学校でどんな勉強をしたい?」・・・裁縫、刺繍、コンピューター!
「中学校を卒業したらどうする予定?」・・・・・「もちろん高校へ進学したいです!」
バイヨン中学校ができたことによって、貧しい農村部の子供たちの”希望のピース”が、ひとつ繋がった!と感じた瞬間でした。
それにしても、中学生とは思えないほど小さな生徒がたくさんいること!
小学校を留年することなく順調に卒業してバイヨン中学校に入学した12歳、13歳の子供たちは、まるで小学校低学年並の体格です。農村部では、十分な栄養を取ることができずに、体が成長しない子供も多いのです。
13歳の生徒の体重を測ってみたところ、22kgしかない子も!
さらに、さらに、ようやく開校に至ったこのバイヨン中学校には、もう一つ、大きな問題が!
校長先生は決まったものの、他の先生が見つからないことです。
カンボジアでは、まだまだ中学校教員数が少ないということもあるのですが、町から少し離れたバイヨン中学校のような学校では、バイクガソリン代などの交通費が余計にかかってしまうため、教員のなり手がいないのです。
(中学校教員の給料はまだ調べていませんが、小学校教師の場合、1年目が1か月約40ドル、校長になっても1か月70ドル~80ドル程度で、しかも交通費の支給はありません)
もちろん、先生の交通費はJSTが支給すると校長に伝え、臨時の教員を探してもらうことになりました。
そのようなわけで、この日は、生徒は3教室に分かれて座っているというのに、先生は校長一人のみ、という状態。
校長先生が3つの教室を順番に回って、指導を行っていました。
そんなときにはオアシスの皆さんやJSTメンバーの出番ですね!
校長先生がいない2教室を回り、手品を行ったり、JSTがこれまでお預かりした日本の皆さんからの支援金で購入したノートと鉛筆を渡したり・・・。
開校記念撮影も行いました!
そしてなんと、アプサラ副総裁兼アンコール保存地域建設局長のクン・クニェイ閣下も学校の様子を見に、訪ねてきてくださいました!
(写真右から、輝水工業の梶さん、校長先生、クン・クニェイ閣下、JST代表チア・ノル)
うれしいことです!!
日本の支援者、地域の人々、そして行政側の応援があって初めて、この中学校が開校に漕ぎつけたのだと、改めて実感しました。
11時。開校説明会を終え、笑顔で教室を出る生徒たち。
バイヨン中学校の記念すべき門出に立ち会えたこと、さらにその瞬間を、オアシスや輝水工業の皆さんと分かち合えたことに感謝したい!と心から感じさせてくれる、最高の笑顔でした!!
JSTでは、今後もどっぷりとバイヨン中学校の運営に携わっていく予定です。
皆さん、応援、よろしくお願いします!
(よ)
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