中学校がほしい!③~敷地確保~

アンコールクラウ村を含む周辺5村には中学校がなく、子供たちも住民も、中学校ができることを望んでいる、ということを知った私たちは、建設に適した場所がないだろうかと検討を始めました。けれども、そう簡単には見つかりません。

既存の小学校の敷地内に中学校を建設するということも考えられるのですが、どの小学校も、敷地が狭く、中には校庭さえないほどの狭小校もあります。

そのような中、候補として、JST代表のチアが所有している2.8haの敷地が浮上してきました。ちょうど5村の真ん中にあり、敷地も広く、町からの新たな幹線道路も整備されつつある好条件の場所です。

 

しかしここで問題が。

この敷地は、アプサラ遺跡保存機構が管理する「アプサラ遺跡保存ゾーン」内に入ることが数年前に決まり、現在、その土地に住民登録を出しているもの以外は、建設物は建てられないのです。

また、2年ほど前から、アプサラ機構の管理が厳しくなり、居住者でさえ、家の増築、柵、トイレ、鶏小屋等の築造が制限され、とても学校を建てることはできないのではと思えました。

 

しかし、アプサラ機構に相談したところ、公共の建物で、かつ発掘調査を自費で行い、何も遺構が出ないことが確認された場合に限り、建設は許可されるとの回答が。

もちろん、公共の建物とするためには、中学校の場合、シェムリアップ市教育庁に敷地の所有権を譲渡しなければなりません。

 

敷地所有者のチアは、ようやく手に入れた自分の土地を無償で手放すか、地域の子供たち何千人もの未来を考えるか、決断を迫られ、迷いに迷ったことは言うまでもありません。

けれども、今現在、農業利用の可能性しかない土地を持っているよりも、何千人ものカンボジアの子供の将来に、大きな希望をもたらすことができるのだったら、その方がよっぽど価値があると考え、土地を寄付することを決めたのでした。そして、

 

2012年4月、発掘調査を行い、

10月10日、アプサラからの建設許可を得、

11月11日、シェムリアップ市教育庁への土地譲渡が完了したのでした。

 

完成するのは公立の中学校で、中学校の先生は国から派遣されるのですが、運営や授業計画にあたっては、JSTも関与、助言させてもらいたい、という条件つきです。

 

 

 


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土地譲渡証明書です。(日本で土地売買をしたことないので日本のやり方はわかりませんが、カンボジアでは親指指紋捺印を行います。)

 

 

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間口100m、奥行き280mの中学校建設予定地入口に立つチア(2011年撮影)。

 

つづく

(よ)

 

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