12月15日。
シェムリアップ市内にあるモクネアク小学校の6年生98名と先生2名を対象に、子供たちのためのアンコール遺跡社会見学会が行われました。
今回は、東京新橋ロータリークラブ、東京レインボーロータリークラブ、
(一財)国際開発センター(IDCJ)のご支援による見学会です。
見学会最後には、学校への書籍の寄贈、そして栄養補給のためのお弁当支給も実施しました!
毎回、シェムリアップの教育関係に従事されている様々な方にご参加いただいているこの見学会。
今回は、日本ユネスコ協会カンボジア代表の木村まり子さんと、
アプサラ機構(アンコール地域整備開発保存機構)のクン・クニェイ局長に
ご参加いただきました!!
木村まり子さん(日本ユネスコ協会カンボジア代表) クン・クニェイさん(アプサラ機構局長)
今日は、木村まり子さんからいただいた見学会の感想を紹介します。
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早朝の少しひんやりした空気が肌に心地良い12月のシェムリアップで、モクネアク小学校5~6年生の子供たち総勢100人に交ざり、バイヨン寺院の修復作業について学ぶ社会見学会に参加させていただきました。
心に残っているのは、社会見学会の間中ずっと輝いていた子供たちの瞳。バイヨンインフォメンショーセンターで、モニターから流れるビデオ映像に見入り、熱心に耳を傾けながらノートを取る生徒たちの姿。遺跡の前での説明会では、チアノルさんをはじめ、専門家の方々の説明を熱心に聴きながら、更にノートを取り続けていました。学校の先生から厳しい指導を受けている賜物かもしれませんが、自分が小学生だった頃と比べてみても、彼らのむき出しの好奇心と真剣さには素直に心を打たれるものがありました。
もうひとつ印象的だったのは、バイヨン寺院の修復現場そのものを見るべく、スチールパイプを組み立ててできた骨組みの階段をス~イスイ上っていった子供たちの姿。小さい頃から外でよく遊んでいるので、バランス感覚が研ぎ澄まされているのでしょう。高台にある狭くてちょっと不安定な通路も階段でも、躊躇している子供は一人も見当たりませんでした。さすがカンボジアの子供たち!同年代の日本の子供たちの半分くらいは足がすくむんじゃないかと思います。
今回の社会見学会に参加させていただいたことで、私自身も今まで知らなかった多くのことを学ばせていただきました。例えば修復現場で行われていた「版築」という作業は、とても興味深いものでした。ゾウの足と言われる太い木の棒で、作業員の人たちが土を垂直に叩きながら固める姿は、今でも脳裏に焼きついています。今回は特別だったと聞きましたが、見学会に参加していた子供たちがほぼ全員、この「版築」という作業を体験させてもらっていました。その時の子供たちの嬉しそうな表情といったら!
こういった社会見学会は、先祖がつくり上げた遺跡に関わる文化や歴史に対する興味を子供たちに喚起するだけでなく、遺跡修復という、自分たちの文化や歴史を未来に伝えるための活動の大切さを訴える力になります。見学会に参加した生徒たちの一握りでも、この経験がきっかけとなって、遺跡修復の道を志すことになるかもしれないと思うと、ぜひこれからも続けていってほしいです。
最後に、私たちの団体が手がけるアンコール寺子屋プロジェクト(※)が対象にしているような、貧しい農村地域に暮らす子供たちにも将来同じような機会ができたら、と強く願います。それを実現するための努力を、州教育局やアプサラ機構など、カンボジア政府を上手く巻き込みながら進めていきたいです。JSTさん、これからも末永くよろしくお願いします。
貴重な機会に同行させていただき、本当にありがとうございました!
(※)アンコール寺子屋プロジェクト
世界寺子屋運動の一環として、2006年より日本ユネスコ協会連盟がシェムリアップ州内で実施中のプロジェクト。寺子屋=CLC(Community Leaning Center)を通して、すべての人への基礎教育の普及、そして農村地域のエンパワメントと自立発展を応援しています。団体ホームページ:http://www.unesco.jp
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