11月19日に実施した、最初のJST主催社会見学会(JSTブログ「カンボジアの子どもたちの社会見学、始めました!」参照)に参加したチェイ小学校の6年生たちから感想文が届きました。先生と生徒たちから届けられた感想文には、この社会見学で学んだ歴史や遺跡にまつわる事実や、修復チームへの感謝の言葉が、びっしりと細かい文字で書かれていました。
今日はその中でも、特に個性的だったチョムラン君の感想文をご紹介します。バイヨン・インフォメーション・センターのスタッフであるVoleakがクメール語から日本語に訳してくれました。
☆☆☆☆今回の社会見学の感想☆☆☆☆
2009年11月19日に、チア・ノル氏のもと、社会見学として『A』グループの学生や先生方とバイヨン・インフォメーション・センターや修復現場やバイヨン寺院を見学させてもらいました。
私たちはチア・ノル氏にセンターについて紹介してもらいました。最初に、ジャヤバルマン7世とバイヨン寺院についてまとめたDVDを見ました。印象に残って、本当によかったと思います。それを見られるのは私の人生の中で最後のチャンスかも知れない、と思います。「あっ!バイヨン寺院てこういうものなんだ!先生、また行けるかなぁ・・・。あるいは、今回が最初で最後になるんだろうか・・・。」
勉強のチャンスができて、本当に泣きたいほど感動しました。私の最後のチャンスだと思うからです。
それから、それぞれの古い時代について説明してくれました。フナンと真臘という古い時代があります。私はまだ生まれていなかったけど、11月19日の勉強会のおかげで、「これがジャヤバルマン7世だよ。」ということがわかりました。そして、アンコールの歴史も教えてくれました。アンコール・トムの南大門とか、尊顔が173面も残っているということなどを説明してくれました。
アンコール時代って、私の祖父、父、母でもまだ生まれていなかったけど、両親がきいたことを少ししか教えてくれなかったのです。でもバイヨン・インフォメーション・センターで聞いた内容と合わせて、なんとかわかるようになりました。だから、この勉強会を1日中にのばしてほしいなぁと思います。
その後5枚の絵をくれました。さらに、それらが何の絵かも教えてくれました。1、アプサラ 2、魔王ラヴァナ 3、チャムの兵士 4、シヴァ神 5、一般の兵隊と家族の絵です。
そして修復現場に連れて行ってもらいました。そこで版築土の再現工法やひとつひとつの土の種類を教えてもらいました。1、砂 2、粘土 3、赤土 4、消石灰 です。
私はバイヨン寺院に深く興味を持つようになりました。もし、いつかこういうチャンスができたら、先生方に勉強時間を延ばしてほしいです。今回は時間が少なかったので、先生たちは早口で説明したから、あまりわかりませんでした。カンボジアで生まれたことを誇りに思っています。そして、カンボジアの遺跡の保存のために日本の政府が自分の時間や財産をつかって修復してくれることに感謝しています。最後に、このツアーに朝ごはんや昼・夜ごはんをつけてほしいです。
最後に、先生や皆様方が長生きで、何をやっても成功できるように祈っています。
ありがとうございました。チャム・ランより
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文中に登場した「5枚の絵」とは、バイヨン・センターのスタッフが作成したぬり絵のことです。
JASAが2000年代の初頭に記録したバイヨン寺院の内回廊にある浮き彫りの中から、子どもたちの興味を引くような題材を選んで、簡単なぬり絵にしました。子供たちが家に持ち帰って、その日に学んだことをもう一度思い出してくれるように、という目的で作ったぬり絵の話題が登場し、スタッフたちの思いが通じたようです。
チャム・ラン君からの感想文を読んでいると「これが最後のチャンスかもしれない」という言葉が繰り返し出てきます。カンボジアの子どもたちにとって、自国の文化財がどれほど遠い存在であるかが、この言葉に表れているような気がします。
もっともっと、たくさんの子どもたちに、遺跡に触れ、知ってもらう機会を提供したい。
それが現在のJSTの願いです。
2010年には、このような社会見学事業を、バイヨン・インフォメーション・センターを中心に展開していきたいと考えています。
(ま)
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