7世紀の都城「イーシャナプラ」の緊急調査完了

サンボー・プレイ・クック遺跡の保全

先日報告しましたイーシャナプラ(サンボー・プレイ・クック遺跡群)での調査を完了しました。

カンボジアにおける7世紀の都城址の内部に、村民により1.5kmにおよぶ道が建設され、その側溝から多数の遺構が出土していることが確認されました。

中でも最も大きな遺構は、150m四方を取り囲む周壁をなす煉瓦造遺構です。周壁の上部は倒壊の後、煉瓦材は持ち去られ、その後土砂が堆積して今に至ったもののようです。周壁には門があったと推測されるマウンドが認められる他、周壁内の敷地のほぼ中央にもマウンドがあるためここに主祠堂が埋伏しているものと考えられます。今回の調査は、道の側溝に出土している遺構を確認することに目的を限定したために、こうした痕跡の調査は行っていませんが、これまで地上には全く遺物の散乱が認められないエリアでも、このような遺構が地下に存在することが確認され、またそうした遺構が現地表より50cmから1mと比較的浅いところにあることが判明したことは、今後この都城での考古学的調査を進める上で重要な知見となりました。

また、土器を中心に多量の遺物が出土しており、カンボジアではこれまで認められなかったタイプの瓦も発見されています。

今回の調査では通常の発掘調査よりも幅の狭いトレンチが長く、出土した遺構の記録は大変な苦労を伴うものとなりました。幅50cm程の狭い隙間での長時間におよぶ採寸・記録は過酷な作業でした。。。

今回は緊急調査として行いましたが、今後のより本格的な調査計画の立案にあたり有意義な結果が得られました。

本事業は住友財団からの支援を受けて進められています。(一)

コメント

タイトルとURLをコピーしました