去る4月21日。バイヨン・インフォメーション・センターは、木曜日の休日を利用して、1日だけプノンペンに出張しました。
その目的は・・・
プノンペン大学日本語学科の特別講義で遺跡の修復について紹介すること!
なんとプノンペン大学でアンコール地域での修復についてお話する機会を頂きました。日本語学科で学ぶ学生に、日本語で、日本のことを紹介する「日本学」の講義の中で、「日本の修復事業」を紹介してほしいとの依頼を受け、1日出張バイヨン・インフォメーション・センターをすることになったのです。
2時間用意されている特別講義の中で、最初の1時間はバイヨンセンターからの講義、次の1時間は学生同士でのディスカッションと発表というように時間分けされていました。
普段耳慣れない遺跡や修復の話。きっと理解が難しい点もあるはず。そこで、バイヨンセンターのカンボジア人スタッフ3名、ソパリー・タウリー・ヨンちゃんをディスカッションの輪に加えることに。
こうしていつもとは違う場所で、大学生を相手に話をすることで、センタースタッフにとってもきっと刺激になるはず!かつかつの予算を押して、全員出張を決行しました。
当日、会場はひな壇状の大きな会議室。聴講生は60名以上。スタッフたちもやや緊張の面持ち。
最初の講義はバイヨンセンターの吉川が担当。
シェムリアップ出身者の数を聞くと、わずかに3人。そして遺跡への訪問回数や、遺跡の名称を聞いても、シェムリアップとは大きく異なっていることを感じます。名前は知っているけれど行ったことはないという人が圧倒的に多い・・・。
プノンペンは日本で言う首都東京。シェムリアップは京都。この2都市間の差はなかなかに大きい。
専門用語も容赦なく使ったにも関わらず、学生の皆さんは比較的よく理解してくれた様子。講義後にカンボジア人の先生からも「生徒は80%以上は理解できたはず」と太鼓判が。「写真や図面がたくさん紹介されたので、難しくても理解できる」と。がんばってプレゼン資料を用意して良かった!
そしてグループに分かれてディスカッションタイム。いよいよバイヨンセンタースタッフの出番です。3つのグループはそれぞれのスタッフのカラーによって全く違う雰囲気に。
ソパリーはまるで大学の先輩のように。
新人ヨンちゃんは、メコン大学のテリー先生に助けてもらいながら。
『自分たちが遺跡の保存や修復に貢献するとしたら、どんなやり方があると思いますか?』という課題に挑みました。笑い声も飛び交いつつ、盛り上がったディスカッション。何やら思わぬ意見が出てきそうな予感が・・・。
最後の発表では、「落書きをしないようにテレビで呼び掛ける」や「学生が遺跡修復のための基金を集める活動をする」など具体的なアクションのアイデアが出てきました。
いつもシェムリアップでは小学生や高校生を中心にやっている遺跡教育だけに、こうしたアイデアはちょっと新鮮。さすがプノンペン。さすが大学生。
今回初めてのプノンペン進出で、バイヨンセンターが感じたこと。
1つは、やはりプノンペンとシェムリアップでは根本的に環境が違う、ということ。良くも悪くも遺跡という存在が街の生活の基盤を支えているシェムリアップとは、遺跡へのむきあい方が違います。
もうひとつは、大学生はやはりおもしろいということ。今回の参加者は教育コースとビジネスコースの学生なので遺跡とは関係ありません。でも、やはり大学生だから考えられること、話し合えることがある。そして、大事なのは「考えて終わらない」機会を作り出すこと。考えてから行動するところまで、将来的に大学生と一緒にできると、これはとても面白くなるのでは?という期待感が。
今後、機会があればぜひ大学生とも遺跡修復現場訪問などをやりたいな!と、そしてどうやったら大学生たちを遺跡へと向かう具体的なアクションに繋げていくか、バイヨンセンターの新たな領域の可能性を感じるプノンペン出張でした。
*プノンペン大学の杉山先生、ご紹介いただいた木村文さん、本当にありがとうございました。
(ま)
コメント