バイヨン・インフォメーション・センターお披露目会

バイヨン・インフォメーション・センター

2009年6月2日,シェムリアップ市街とアンコール遺跡の間に位置するUNESCO/JASA Project Office内にて「バイヨン・インフォメーション・センター(Bayon Information Center)」のお披露目会が開かれました。この展示施設は,アンコール遺跡群においてユネスコを中心として様々な国と機関が行っている保存や研究事業の様子を紹介し,また日本国政府が修復工事を進めているバイヨン寺院を通じて,アンコール遺跡の壮大な寺院群の歴史や宗教的な意味を紹介するものです。日本ユネスコ信託基金の特別予算によってこのセンターを実現することができました。

 

お披露目会は,「第18回 アンコール遺跡群の保存と開発のための国際調整会議(ICC)」のプログラムとして実施され,多くの国際的な修復チームのメンバーが招待されました。薄暗くなりはじめた夕刻6時半,ライトに照らされたバイヨンの尊顔彫刻がオフィスの中庭には浮かび上がる中,会議を終えて続々と入館する国際色豊かな専門家の面々は期待をふくらませながら,オフィス中央の八角形の展示ホールに続々と集まりました。

 


式典は,日本国政府アンコール遺跡救済チームの団長である中川武教授のスピーチにはじまり,その後,在カンボジアユネスコ代表の神内照夫氏,在カンボジア日本国大使館公使の丸山則夫氏,そしてソッカーン副首相からご挨拶をいただきました。国際的な協調のもとに繰り広げられているアンコール遺跡群の保全活動の輪を象徴する場となりました。

 


P1000589.JPG当プロジェクトが誇る美女(?)四名が持つ赤くふくよかなテープがソッカーン副首相によりカットされて,展示場が封切られると,まずは二階に足を運びます。二階では,アンコール遺跡群全域の衛星写真の上に,様々な国際的なチームが活動を繰り広げている様子がわかる大きな地図から始まります。その後,それらのチームの活動の様子を伝えるパネルが続きます。さらに,石造りのアンコール遺跡の修復工事のプロセスを紹介するパネル,アンコールの王宮付近から出土した遺物などの紹介があります。そして,二階の最後で,日本国政府アンコール遺跡救済チームの15年の歩みをたどる約12分の映像ドキュメンタリーがあります。このショートフィルムは,アンコール遺跡での修復の様子を1995年から撮影し続けてきた日本隊の記録班によるもので,現在は文化財を映像で記録することを目的としたNPO(文化遺産保存のための映像記録協会)として活動を続けているチームによって制作されました。

 


その後,一階に下りると,ここではバイヨン寺院を多角的に分析しようとする展示になっています。展示はパネルと映像によりますが,それらは相互に補完的な内容となっており,分かりやすく紹介された映像で興味を持った方には,やや難解なパネルを読んで,より理解を深めてもらえるように準備されています。

 

最初のショートフィルムでは,この寺院にたくさんの神々が祀られている様子を紹介します。塔に刻まれた多数の尊顔に象徴されるように,様々な神々がこの寺院には祀られていますが,それらの神々がどのような寛容な大王によって万神殿としてこの寺院に集められたのか,ということを最初のフィルムでは解説します。

 

続くフィルムではアンコール遺跡群の中でもピラミッド型の寺院に焦点を絞り,それらがどのような建築的な発展を遂げたのか,そしてその発展の中でバイヨン寺院がいかにそれまでの順当な変遷からは逸脱した異端な建築作品であるのかという点に迫ります。

 

三本目のフィルムでは,バイヨン寺院はその周辺を取り囲む王都アンコール・トムの一つの要素であり,王都全体でアンコール帝国の繁栄を象徴的に示そうとした壮大な建設工事の構想力を紹介します。

 

3つのフィルムは,バイヨン寺院の意味を探る謎解きになっており,これらの映像とパネルを眺めて40分ほどで一回りした頃には,アンコール遺跡群を楽しく理解して見て回るのに役立つ基本的な知識に触れることができます。

 

展示は英語とクメール語からなっていますが,日本語の小冊子により,展示パネルの全ての内容が理解できるようになっています。また,映像も英語とクメール語が準備されていますが,日本語の字幕が加えられています。

 

お披露目会では,一通りの展示を見学した後には,ワインとビール,そしてスナックやフルーツが振る舞われ,ほろ酔い気分で朝から始まった長い会議を締めくくる楽しい時間を過ごすことができました。

 

この展示施設の一般公開は今年8月ごろからを予定しています。比較的短い時間で遺跡群の概要を知ることができ,また遺跡へのアクセスの途中に位置するこの「バイヨン・インフォメーション・センター」にぜひ多くの方々が来られることを楽しみにしています!

コメント

タイトルとURLをコピーしました