先日はサンボー遺跡におけるトレーニングプログラム参加の選考のための面接について紹介しましたが,8月17日より遺跡群において研修プログラムを開始しました。
参加する学生はプノンペン芸術大学の考古学部生と建築学部生,そしてメコン大学の建築学部生です。
プログラムでは最初に遺跡群内の寺院や都市の構造など,これまでに確認されている重要な遺構を見学することから開始しました。
その後,プラサート・サンボー寺院境内にて考古学的発掘調査を実施しました。さらに早稲田大学理工学部中川武先生が担当されている大学の海外授業のコースに参加している学生15名ほどと合流し,遺跡内の住民への聞き込みや子供達の交流会などにも加わっています。
発掘調査では,過去数年にわたり考古学的な研究が進められているサンボー寺院内の主祠堂から東側に約30mにわたりトレンチを掘り込んでいます。
昨年からこの主祠堂の周囲のテラスにてクリアランス調査を実施していることから,出土する遺構の推測が可能ですが,過去の発掘調査からも正面の伽藍主軸線上では様々な改変の痕跡が認められたため,東側では慎重な調査が必要であると考えられ,このたびの調査地の選定にいたりました。
調査を開始してからまだ一週間程度ですが,テラス上面の敷石や階段が確認されているほか,リンガや円形の台座などの石製の遺物が出土しています。また,増築時の遺構の痕跡なども一部に認められ,寺院の性格や変遷を考える上で重要な痕跡が明らかになりつつあります。
今回トレーニングに参加した学生の多くが,発掘調査は初めての体験で,調査前日はやや緊張した面持ちでしたが,少しずつゆとりが出て全体を眺めながら考える余裕も出てきたようです。
今後二週間ほど調査は継続される予定ですが,調査の結果については後日お伝えしたいと思います。
本調査は「文化財保護・研究助成財団」と「住友財団」からの支援を得て進められているサンボー・プレイ・クック遺跡群保全事業の一環として行われています。(一)
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