コーケル遺跡群の調査 後半戦

コーケル遺跡群の調査は予定外にまだまだ続きました・・・。

 

調査後半 3月7,8,12,13日

4、5日目:この日からはベンメリア調査隊とコーケル調査隊の2つにわかれました。

 

コーケル調査一班は、コーケルの中心寺院であるPr,Thomの図面チェックと、同遺構内に残るリンテルやペディメント、その他の建築装飾の調査を行いました。また、周回道路周辺の遺構に関しても建築装飾が残存している寺院を対象に調査を行いました。

 

二班はコーケル遺跡群南東〜南西に数多く散在する台座と、標石の採寸及びインベントリーの更新を行いました。南東の標石(KK76)の周辺には、これまで報告されていなかった数十メートルもの長さの砂岩列や加工されたラテライトがまとまっている場所などが確認され、この標石の謎はますます深まるばかりです。

 この地帯を実際に歩くとその起伏の激しさに驚かされますが、台座やテラスはその中でも比較的小高い場所に安置されています。台座はいずれも破損が著しく、大半が2つもしくはそれ以上に破壊されています。新たに台座と標石それぞれ一基ずつが発見されました。

 

6、7日目:とうとうコーケル遺跡群での調査メンバーは2人になりました。

 

6日目はラハルの西にあるAndong Prengという貯水池の採寸を行いました。この遺構はこれまでそれほど大掛かりな調査は行われていませんでしたが、周辺を歩くと次から次へといたるところにラテライト列が続いており、時には部屋のように四角く、いくつかに区切られたような痕跡も見られました。また装飾が施されたいくつかの瓦当も確認され、かつてはここに木造の建築物があったことが伺われます。非常に興味深い遺構ですが、今後さらなる調査を要する遺構です。

 

その後、コーケル遺跡群北部の台座やテラス、標石の採寸とインベントリーの更新のため、地元の方の案内のもとバイクでどんどん北へ進みます。この日、新たに台座1つが目録リストに加わりました。

 

最終日となった7日目は、とにかく残りの作業を終わらせるべく、西へ南へとせっせと動き回りました。残っていたPr.Dang Toung S.とPr.Dang Toung Nの図面チェックを行い、パルマンティエのレポートに描かれていたモールディングの残る台座などを確認しました。遺跡群の東方にやや離れた地点では、とても残存状態の良い台座が発見されました。

 

ここまでひたすら図面チェックと台座の採寸を続けていると、最初は違いがあるのかと疑っていた台座にも少しずつプロポーションや大きさ、モールディングの内容が異なるということがわかってきてどんどん面白くなってきます。

 

過去数年にわたりコーケル遺跡の調査が行われていますが、来るたびに遺跡群内のクリーニングが進んでおり、図面の更新もエンドレスにできてしまいそうです。そして歩けば歩く程に、新たな遺構や遺物が発見され(発見と言っても住民は以前より知っていることが多いのですが・・・)、コーケル遺跡群の森の中にはまだまだ多くの遺構が眠っているのではないか?と想像は尽きることなく、次なる調査への期待が高まってしまいます。(島田)

 

*本研究は日本政府文部科学省科学研究費補助金による助成研究「クメール帝国地方拠点の都市遺跡と寺院遺構に関する研究(研究代表者 溝口明則)」によるものです。

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