バイヨン・インフォメーション・センター一般公開に向けて

バイヨン・インフォメーション・センター

6月初めにシェムリアップのUNESCO/JASA事業オフィスに開設したバイヨン・インフォメーション・センターのお披露目会を行いましたが,引き続き8月6日に一般公開のための「オープニング・セレモニー」を予定しています。

 

お披露目会の後,センター内の案内のための新スタッフ2名を採用し,展示案内の工夫をこらしています。施設内の展示の最終準備も進めていますが,半屋外の環境であるため,強風や雨にも耐えられる展示にすることが難しいところです。

また,施設運営の方法について最終的な検討を行っています。

施設の開設のための予算はユネスコ日本信託基金の支援を頂くことができましたが,運営には独立した採算が求められています。バイヨン・インフォメーション・センターでは入場料2ドルと関連グッズを財源として運営していく予定で,大勢の観光客の方に来ていただけることを期待しています。

シェムリアップに事務所を構えている旅行代理店の方々への説明を行っていますが,今年度の下半期にあたる10月ごろからのグループツアーに組み込んでもらえるとの多くの前向きな反応をいただいています。

 

さて,今日はこのセンターの展示の中心となる映像作品のクメール語版の制作についてお伝えしたいと思います。

ホールでは日本隊のアンコール遺跡修復を紹介するドキュメンタリー1本と,バイヨン寺院の謎解きとなる3本の映像を準備していますが,これらのクメール語の制作です。

映像そのものは,日本のNPOである「文化遺産保存のための映像保存協会」http://www.saitamaken-npo.net/_db/060522132347.html

の協力を得て制作されましたが,クメール語の制作にあたっては,カンボジアのNGO「Cambodian Living Arts」 http://cambodianlivingarts.org/

の協力を得ました。このNGOではクメール・ルージュの時代に多くが失われてしまったカンボジアの芸術をもう一度見直し,また数少なくなってしまった伝統的な舞踊・音楽などを継承する人々を支援している団体です。この団体は,映像によってこうした芸術を記録しようとする活動にも力を入れはじめており,カメラマンやスタジオエンジニアなどの若い専門家が育成され,プノンペンには基本的なスタジオ施設も整えられています。

 

このチームと協力して今回はクメール語版制作のためのレコーディングを行いました。

ナレーターはテレビアナウンサーをつとめている女性に依頼しました。カンボジアで携帯電話を使ったことのある人はだれでも一度はこのナレーターの声を聞いたことがあると思います。

そう,012で始まるプロバイダーの携帯のメッセージを担当している女性です。


通常,日本語と英語であれば,英語の方が文章にしても話し言葉にしてもやや長くなりますが,クメール語は話し言葉にした場合,かなり長くなってしまうため,当初準備していた台本ではなかなか映像にあうようには収めることができません。

 

今回はカンボジア人のクメール建築史の専門家に立ち会ってもらった他,日本から本作品の監督にもボランティアで参加していただき,作品の主旨を保ちながら台本の書き換えをその場で進めることができました。

 

レコーディング用のパソコンに表示される音声の波長を眺めていくと,英語とクメール語ではだいぶ違うのが視覚的にも見て取られます。ある程度一定の波長が連続する英語に対して,クメール語の波長は細かく断続して瞬間的な発音の連続になっているように見えるのです。

ナレーターの話すクメール語は本当に美しく,映像に新たな息吹が注ぎ込まれるようです。

計4日間の制作日を経て、ようやく最終の作品ができあがりました。

バイヨン・インフォメーション・センターで放映する映像のうち3本は「英語+日本語字幕」か「クメール語+日本語字幕」となります。当初は、日本人の訪問客には英語版を見ていただこうかと思っていましたが、美しいクメール語に触れてもらうために、クメール語版を見てもらいたいな、とも思っています。(一)

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