6月6日、晴れ。
今日もクラウ村の子どもたちは元気です。
そして、その子供たちがワクワクした目で見つめる先には、2つの茶色い箱が。
そう、今日からクラウ村に仲間入りする2台のオルガンです。
シェムリアップに届けられてから早2か月が経過していた音の高低の違うオルガンコンビ。子どもたちの前に登場する、この日を心待ちにしていました。
今日は、シェムリアップにほど近いトンレサップ湖の近くで保育士さんの育成をしている教会から、シスターと保育士さんという強力な助っ人をお招きして、いよいよオルガンの本領発揮です。JASA団長の中川教授や、シェムリアップ在住の日本人の方もオーディエンスに加わりました。
まずはオルガンの音色を子どもたちに知ってもらおうと、シスター村上による賛美歌の演奏。
初めて見る箱から流れてくる初めて聞く音色。最初は子供たちもなんとなくきょとんとした印象。
続いて、子どもたちも一緒に歌える曲を、ということで「幸せなら手をたたこう!」をクメール語で。
ここからは2人の若いカンボジア人保母さんの独壇場。保母さんの勉強を始めてまだ3年とは思えない風格で子供たちをうまーく乗せて、惹きつけていきます。気がつけば子どもたちの目は一心に保母さんの口もとと動きを追っていました。
27歳と26歳の保母さんコンビ、大活躍です。
通常の「手をたたこう!」をアレンジした、最後は両手を合わせて「オークン!(ありがとう)」というカンボジアオリジナルバージョン。
だんだん大きくなっていく子供たちの声ときらきらと見開かれていく目。こっちまで思わず一緒に思いっきり手を叩いてしまいます。
「手をたたこう!」はもう完璧!続いて「キラキラ星」です。こちらもクメール語の歌詞がついています。
2曲目になると、必至に歌詞を覚えようとする子、歌詞はともかく振り付けを思いっきりやる子、オルガンの旋律に耳を澄ませる子、とよーく見ているとそれぞれの特徴が見えてきます。
と、ここで。
子どもたち、壁に当たります。
キラキラ星の「まばたきしては みんなを見てる」の部分の音程が、どーしても「きらきらひかる・・・」につられてしまってうまく歌えません。
まぁ、それくらいかわいらしくていいじゃないか、と思っていたら、保母さんたちの指導は甘くはありませんでした。「ちゃんとした音程で覚えてもらえないと意味がない」と、問題の部分に繰り返し繰り返し挑戦します。
まずオルガンだけの音を聞かせて、そして保母さんだけで歌っているのを聞かせて、次に子どもたちに歌ってもらう、これを何度も何度も繰り返し、まだ・・・?とちょっと困惑気味の子どもが出てきた頃にようやく、みんなで音をつかむことができました。
ご夫婦でシェムリアップ在住の漆原さん。保母さんたちへの音楽指導のお手伝いをされている方。子どもたちがしっかり音を掴めるように、じっくりと教えていただきました。
これまでも日本人の方が訪問されて、歌や踊りを教えてもらったり、一緒に歌ったりする機会はありました。しかし、その時には、言葉の違いがあることや楽器演奏がなかったことから、音楽に触れ子どもたちに楽しんでもらう、そして自分たちも楽しむという、「交流」が主体でありました。
それが、オルガンの登場、そしてカンボジア人の保母さんが加わったことによって、音楽に触れるところから、もう一歩踏み込んで、音楽を耳で聞き、再現し、体感するという段階に進んだようです。
そしてこの日の最後に、子どもたちにオルガンを触ってもらう時間を設けました。
はじめのうちは腰が引けていた子供たち。でも前に出て、オルガンの椅子に座って鍵盤に触れて、シスターに教えてもらいながら、自分の手でドレミファソラシドの音を出してみると、とたんににぱっと笑顔になります。
近い将来、クラウ村の大きいお姉さんたちがオルガンの弾き手になって、小さな子どもたちにキラキラ星を教えてあげる。そして、その小さい子がまた少しずつ覚えていって、その下の子どもたちに教えてあげる。
そんな風に、この2台のオルガンとクラウ村の子どもたちが歩いて行けたらいいな、と思っています。
最後に、今回ご支援いただいた三田商会様、善興寺・住職の飛鳥様、楽器店店主・竹田様、そしてオルガンの輸送にご協力いただいたJHP・学校をつくる会様、本当にありがとうございました。
そして、この記事をご覧の皆様も、クラウ村で子どもたちと一緒に、大声で歌ってみませんか?!
みんなの歌が気持よくって、眠くなっちゃった・・・・。
(ま)