昨年、(一財)国際開発センターの板倉さんが、アンコールクラウ村の青年たちを対象に行ったレクチュアー、東ティモールで行った「熱効率のよい”改良かまど”」について、いつか、アンコールクラウ村でも同様のものをつくってみたいね、と、ひそかに、皆で計画を練っていました。
(そのときのブログはこちら→http://www.jst-cambodia.net/jstnews/2010/07/11/)
そして、それから1年。
NPO法人オアシスの皆さんの協力のもと、村の子供たちの栄養向上プロジェクトの一環として、改良かまどをつくる助成金をいただくことができました!
改良かまどの製作にあたっては、JSTのカンボジア人遺跡修復専門家に一任。
休日を利用して、さっそく、かまどづくりに向けて試行錯誤をはじめました。
皆、プノンペン芸術大学で建築を学び、長年、遺跡修復事業に携わってきた建築のスペシャリストでもあるので、”ものづくり”に関しては、人一倍の情熱と専門家としての自負を持っています。
まず、改良かまどは次のような条件を満たすことを目標に、検討を始めました。
・村の子供たちのための雑炊炊き出しの際に利用するので、大きな鍋が2つ同時に使えること。
・余熱を利用してやかんのお湯を沸かせるようにすること。
・薪の使用量が少なくて済むように工夫し、将来的に、村の各家に普及させたいと考えていること。
・また、村で普及させるためには、カンボジアにある身近な材料を使い、ローコストで製作できなければならないこと。
薪入れ口は両サイドにつくり、中央後方に煙突、そして両側の鍋と煙突の間に余熱で沸かすやかんを置く小さな穴を設けます。
図面を作成してくれたプロスくん(左端)。とても几帳面な性格で、水平をとる水準器を使って、修復の際の石積み作業と同様の精度(?)でつくっていきます。
上半身裸になって、やる気満々のモニーくん。彼はコンピューターの専門家なのですが、機械類の組み立て作業ならなんでも大好き、という性格そのままにこの作業にのめりこみ、レンガの切断線を描いていきます。
そして、指定された線の通りにレンガを切断していく村の作業員。
鍋を据え置く部分の形を決めて・・・。と、皆、もくもくと作業をしていきます。
最後に、遺跡修復でも使った”版築土”の材料を調合した土で全体を塗りこめて、仕上げを施しました。
消石灰と粘土以外に、ひび割れを防ぐために砂糖と塩も入れているそうです。さすが!
出来上がった改良かまど。
まるで芸術品のような立派なかまどができました!
JSTのカンボジア人専門家たちも、自らつくった立派なかまどに大満足。
次は、小学校のゴミ焼却炉をつくってみよう!と張り切っています。
さらに、いつも炊き出しの際に雑炊を作ってくれる村のおばさんたちもやってきて、「こんなに素晴らしいかまどを、本当に自分たちが使っていいの?」と大喜び。
このかまど、現在乾燥中ですが、早く使ってみたいと、次回の雑炊の炊き出しに皆で期待を寄せているところです。
(よ)
-JSTでは、NPO法人オアシスの皆さんと共同で、「村の子供たちの栄養補給プロジェクト」を進める村の大人たちのサポートを始めました-
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