ナーガ・シンハ彫像修復プロジェクト_2013年度活動報告7

JST活動報告2013年度

今までほとんど紹介してきませんでしたが、

JSTでは、2012年より、人材育成の一環として、日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JASA)の技術協力を得て、日本ユネスコ協会連盟と共同で、バイヨン寺院のナーガ(蛇)彫像、シンハ(獅子)彫像、及び欄干(ナーガ胴体)の修復を行っています。
クメール正月前のちょうど今週で修復の第1フェーズが終わり、クメール正月後から2016年にかけて、第2フェーズが始まります。
修復箇所は、第1フェーズは図面の青で囲った部分、第2フェーズは赤で囲った部分です。
バイヨン寺院の東参道、外回廊を飾るナーガ彫像、シンハ彫像、欄干は、過去にフランスの修復隊による修復処置が施されたものの、1970年代、80年代の混乱の時代を経て再び破損し、遺跡の周囲に散乱しているものもみられます。(↑石材が散らばる現在の様子)
こうした状況は、石材の劣化を進行させてしまう危険性があり、適切な処置が必要となっています。
また、これらを修復、再整備することは、バイヨン寺院の景観整備に寄与するだけでなく、近年急激に増加しつつある観光客への安全性を確保するためにも、緊急の課題となっています。
たとえば、上のような破損が確認される部分は、クリーニング後、なるべく旧材を使って結合や接着による修復を行いますが、残存具合や石材強度によっては、新材に置換することもあります。
このプロジェクトの主任修復専門家は、JST入団3年目のソペアック(写真右)。
JASA修復チームの日本人専門家・石塚(写真左)や他のカンボジア人専門家の指導のもと、6名の修復技術者とともに、この修復プロジェクトを進めています。
炎天下のもと行うカンボジアの修復現場は、日中の一番暑い時間も作業を行う過酷な現場です。
けれども、専門家も技術者も、自分たちの祖先がつくった遺産の修復に、喜びとやりがいを感じながら、日々、こつこつと修復作業を続けているのです。
こうして行われた第1フェーズの修復事業。この写真は、修復が完成したバイヨン寺院外回廊の東南隅です。
旧材と新材は、2~3年経つと自然になじんで違和感のない仕上がりになるため、修復の時点で色合いを調整する等の作業は行いません。
また、数年後に色が変化した後も、修復による材の区別がつくよう、オリジナルの石材とは少し異なる仕上げを施すのみならず、新材の裏には鉛のプレートを貼り、修復年度がはっきり識別できるようにしています。
こうして、2年にかけて行われた第1フェーズの修復実績は、ナーガ像17体、シンハ像4体、ナーガ胴体44ピース、ナーガ胴体を支える斗束72個、地覆111個でした。

バイヨン寺院を訪れる際には、ぜひ、JSTの修復チームが修復したナーガ像、シンハ像もご覧ください!
(よ)

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