ミニクレーンの活躍と操縦トレーニング

ナーガ・シンハ彫像修復プロジェクト
時は遡ること12世紀末…
ジャヤヴァルマンVII世の絶大な権力のもと、国家鎮護寺院としてバイヨン寺院を建立すべく、国中から労働力が集められ、数千、数万人ともいう人々の手で大寺院が建造されていきました。
さて、21世紀の現代。
バイヨン寺院のあちらこちらで進む修復事業では、当然これほどの労働力があるわけではなく、JASA、JST(当チームは9名)合わせて、多いときでも60名程度の作業員の力と、さまざまな現代技術を駆使して作業が進められています。
その一つが・・・
ミニクレーン!!
◆ミニクレーンの仕事内容
ミニクレーンは、主に欄干や彫像を解体するときや、仮組み、再構築の作業段階で、石材を基壇の上と(修理や石材加工をする)地面の間を運ぶために使用します。特に、ナーガ彫像やライオン彫像といった大きな石材は1トン以上あるものもあり、数人がかりであっても持ち上げることは難しく、また貴重な文化財を傷つけてしまう可能性があります。
ミニクレーンはそんな重い石材を持ち上げるときに活躍します。
貴重な遺跡を相手にするミニクレーンの操縦士は、非常に繊細な操作が必要とされます。修理を終えた石材を設置する際には、設置箇所に指示を出す作業員が立ち、ミニクレーンの操縦者に声とサインを使って数センチ単位で上下左右の指示をだします。この2人が息を合わせることで、見事に安定した位置に石材をピタリと置くことができるのです。
◆トレーニングについて
当事業では、ミニクレーンをはじめとする大型機材を、JASAから(JASAの仕事に支障がでない範囲で)借りています。
これまでは、借りる際はJASAの作業員がミニクレーンの操縦をしてくれていたのですが、そろそろこうした大型機材の操縦も自分たちでできるようにならなければいけない!ということで、JASAの技能員よりミニクレーン操縦のトレーニングを受けることになりました。
トレーニングを受けたのは、過去に車の運転経験のある当チームのリエンさん(写真左)。
トレーナーになってくださったのはクレーン操縦この道十数年のベテランであるJASAのダラさんです(写真右)。
リエンさんにミニクレーンの操縦トレーニングを受けていて、難しいと感じた点について伺ってみました。
「操縦方法は意外と単純なので、すぐ覚えられました。でも難しいのは、貴重な石材を傷つけることなく、安全に上げ下げしなければならないことです。設置する際にはそっと置かないと下の石が傷ついてしまうので、その微調整にとても気を使います。
もう一つとても難しいと感じるのは、機材自体の正しい管理方法です。安全に長く機材を使うためには、適切な管理が必要で、その管理方法については今も学び続けています。」
ということでした。
なるほど、操縦だけでなく、重機は適切な管理がとても大切なのですね。
修復の最終段階となる、ミニクレーンを使った再設置作業は、最もチームワークが発揮されるダイナミックな作業であり、
むずかしい作業ながらも声を掛け合いながら進め、
石材を無事ピタリと予定の位置に設置できたときの充実した笑顔がとても印象的でした。
とはいえ・・・・
これを使わずに1トンもの石材を人の力だけで持ち上げていた昔の人たちはやはりすごいですね。
(麻)

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