Dongさん編〜遺跡修復作業員へのインタビュー⑥〜

ナーガ・シンハ彫像修復プロジェクト
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次にインタビューをしたDongさんはアンコールクラウ村出身の24歳。まだお若いのですが、ご結婚されていて、13ヶ月の娘さんがいらっしゃいます。図面作成がとても上手で、方眼紙にきれいなナーガ像の図面を作成していたときは、その手元に吸い込まれるように時間を忘れて見入ってしまいました。

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なぜこの仕事を始めたのですか

 家が近いことと、父と祖父がJASAで作業員をしており、2013年に祖父から修復作業員になることを勧められました。トレーニングを始めた当初は、この仕事を面白いと思わなかったが、トレーニングをしているうちにどんどん好きになりました。

 

この仕事にどんな気持ちで携わっていますか

 難しい作業のときにはストレスを感じたり、体調が優れないときには疲れを感じたりしますが、この仕事を楽しんでいます。

 

将来の夢や目標があれば教えてください

 もっと修復作業員としての技術を高めたいです。またこのプロジェクト終了後は他の修復プロジェクトに参加したいです。

 

仕事が無いときは何をしていますか

 野菜やフルーツを育てたり、子どもと遊んだり、妻と一緒に過ごしています。

 

図面作成が得意だと伺っているが、難しいポイントと楽しいポイントを教えてください

 図面作成に関して、難しいと感じるところはもうないです。楽しいところは、図面がきれいに書けるとうれしい気持ちになるし、シャーペンで紙に図面を書くのが気持ち良いと感じるところです。

 

図面作成の技術を身につけるためにどのような努力をしましたか

 JASAからのトレーニングを受けた後、自己練習をしました。

 

JASAスタッフから図面作成について、どのように教育されましたか、また教え方に難しい点はありましたか

 方眼紙のマス目の読み方、計測の仕方、図面の書き方を教えられました。優しいトレーニングで、分かりやすかったです。

 

今後はどのような技術を伸ばしたいですか

 図面作成はもうできるので、石材修復技術のスキルアップを図りたいです。

 

新しいメンバーを教育していて難しいところはどこですか

 教えたことを理解させることが難しいです。しかし私含め、はじめは誰も何もできなかった。できなくて当たり前だと思います。

 

新メンバーを指導する立場になって感じた、技術を教えるに当たり気をつけていることは何ですか

 まずは知識や技術を伝え、実際にやらせてみます。それをチェックしてできていないところがあれば改善点を伝えています。

 

他の作業員はあなたにとってどんな存在ですか

 好きです。一緒にいると楽しくて友達のようです。

 

 

 

いつ現場に行っても笑顔で出迎えてくださり、図面を書いている様子を見せてくださっていたDongさん。

 

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図面作成だけでなく、ほかの修復技術のスキルも持ち合わせたオールラウンダーだそうです。そんな将来有望な彼が、この仕事を始めた当初は修復に興味を持てなかったというのは意外でした。しかし今ではこの仕事を楽しんでいらっしゃるようで、現場でもムードメーカーとしてほかの作業員を楽しませている姿が印象的でした。

 

仲尾

本プロジェクトは2012年より、JSTと日本ユネスコ協会連盟の共同事業として、JASAの技術協力のもと始められました。バイヨン寺院外回廊のナーガ彫像、ライオン彫像、欄干を対象として進められています。

本プロジェクトは皆さまのご支援により成り立っています。ご寄付をいただいた方のお名前は、バイヨン寺院のすぐ近くに立つ、バイヨンハット脇の銘板へお名前を掲載させていただきますほか、年1回活動報告書をお送りさせていただきます。

※事業終了後は、銘板はカンボジア政府の管理下となります。

詳細はこちらのURLからご確認下さい。

http://www.unesco.or.jp/isan/restorationproject/

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