ナーガ・シンハプロジェクト 第2フェーズ完了のご報告

バイヨン 彫像修復事業
2012年より4年間にわたり続けられてきた「ナーガ像・シンハ像および欄干修復プロジェクト」は、おかげ様で2016年3月で第2フェーズを完了することができました!
第2フェーズではバイヨン寺院正面となる、東参道の欄干、ナーガ像、シンハ像を対象としておりました。
東参道は、寺院の正面ということもあり、ほぼほとんどの観光客にとっての観光ルート入口であり、バイヨン寺院をまず眺める重要な景観であるにもかかわらず、このエリアでは多くの欄干や彫像が崩落し、基壇の上や遺跡の周囲にその部材が散乱している状態でした。
こうした状況は景観的な問題だけでなく、散乱した部材を観光客らが踏んだり座ってしまい、ますます部材が劣化していくという状況を招いてしまっていました。
また、崩落していなくても、基壇の歪みによって欄干が不安定であったり、80年以上前の過去の修復によって入れていたサポートが脆くなり、とても危険な状態にある場所も多くみられました。
                                             <修復前の東参道の様子>
JSTチームでは、JASAからの多くの技術協力とアドバイスをうけながら、これらの修復を進めてくることができました。
欄干修復のおおまかな流れとしては、
修復前記録→解体→部材修理→仮組み+必要な箇所への新材加工、部分的な基壇修理→再構築→修復後記録
となります。
それぞれの部材や場所によって、問題は様々であり、一つ一つに対してJSTの専門家とJASAの専門家による検討が行われ、最適な修理方法が選ばれて行きました。
また、ライオン彫像の修理も進められ、最終的には大きく景観的にも安全性においても改善することができました。
これまでもブログで各エリアの終了ごとに報告をしてきましたが、ここでまとめて第2フェーズで終了した箇所の劇的ビフォーアフターをご覧ください!
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71.3-2.jpgのサムネール画像
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さて、このプロジェクトのもう一つの大きな成果といえば、
「カンボジア人からカンボジア人への人材育成」です!
これまでの4年間で、JASAで長年培われてきた経験と方法を、JASAの専門家や技能員が丁寧に当プロジェクトの7名のメンバーにトレーニングをおこなってきました。
4年たった今では当プロジェクトのメンバーもかなりたくましく、頼れるスタッフへと成長してくれました。
修復にはそれぞれいろいろな工程がありますが、若手専門家として頑張ってくれているソピアック君をはじめ、そのほか6名のメンバーもそれぞれ得意の分野ができはじめており、それぞれの工程でリーダーシップを発揮してくれます。
各メンバーの成長の様子は今後のブログでご紹介していきたいと思います。
2016年4月から第3フェーズが開始し、引き続き参道での修復工事が進められています!
第3フェーズの修復工事の様子も随時ご紹介していきたいと思いますので、これから2年間もどうぞ皆様よろしくお願いします!
※本事業は日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JASA)の技術協力のもと、JSTと日本ユネスコ協会連盟の共同事業としてすすめられています
(麻)

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