新年、あけましておめでとうございます。
カンボジアでは穏やかなお正月となりました。
さて、今年は蛇年、つまりカンボジア風(?)に言えばナーガ年です。
蛇(ナーガ)は仏教・ヒンドゥー圏のアジアではいつの時代も大切に礼拝され、泉や池に貯えられた生命エネルギーの保持者であると信じられてきました。
ナーガは繁栄と豊穣をもたらし、病を癒し、そして望みを叶えてくれるといいます。
ということで、この大切なナーガ神を対象としている、バイヨン寺院の「ナーガ・シンハ彫像修復事業」も、着々と修復工事が進んでいます。
現在は、バイヨン寺院外回廊の南東隅の建物にある、ナーガ像とライオン像、そして欄干の修復を進めています。
9月から新しく修復スタッフとして加わった5人のメンバーも、JASAのベテランスタッフからのトレーニングを受け、日々頼もしく成長しています。
われてしまいたり、ひびが入ってしまっている地覆や胴体の接着をしている様子。始めは手取り足取り教えてもらっていた修復作業ですが、最近ではこうした基本的な修復作業はJSTメンバーの手でも進められるようになってきました。
また、11月より、T57の新たなの箇所の解体とライオン彫像の修復が開始されました。
ライオン彫像の一部には、20世紀中頃に行われた過去の修復の際に、破断によって失われてしまった足の部分コンクリートと鉄による補強を施している箇所がありますが、近年既往修復が脆くなり、再び彫像が壊れてしまう危険性があるため、一度取り除き、砂岩新材による補填を行なうことにしています。
JST新人技術員が新材加工トレーニングを受けている様子。
彫像へ新材を補填する時は、割れている形状に合わせて加工をする必要があり、特に彫像の場合はとても高い技術が必要です。
このとても難しい作業を、JASAの経験豊富なスタッフが素早い手つきで加工していく様子は見事です。
T57の新たな箇所の解体風景。
今年も現場の安全の願いつつ、修復工事を進めていきたいと思います。
※当事業(アンコール遺跡 バイヨン寺院 石像修復プロジェクト)は日本ユネスコ協会連盟との協力し、JASA(日本国政府アンコール遺跡修復チーム)の技術的な協力を受け、実施されています。
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