水の都・コンポンプロック

カンボジアのほぼ中央に横たわる、東南アジア最大の湖・トンレサップ。

雨期と乾期で3倍にも大きさを変え、湖が膨張する勢いで大河が逆流する現象まで起きる大湖。

一番小さいときで琵琶湖の3倍。大きいときには琵琶湖の10倍といわれるその湖は、

古代から現代まで、様々な生き物の生を支えてきました。

 その中にはもちろん、クメール王朝を築いた1000年前の人々も、

今カンボジアの国で生きる私たちも含まれています。

 

我が家に来て1ヶ月が経とうとするクメール犬・ラティの生まれた村・コンポンプロックは、

このトンレサップ湖上にあります。

9世紀に建立されたアンコール地域で最も古いロリュオス遺跡群の南を走るロリュオス川を辿り、

小舟に乗ってトンレサップ湖上に出ると、そこには浸水林が広がっています。

その浸水林を縫うように舟を走らせて、最初に着く村がコンポンプロック。

 

ジャングルクルーズと呼ぶにふさわしい船旅の終着点には、

「水の上に建つ村」が待ちかまえているのです。

水の中から天に向かって伸びる無数の細い竹竿。

あるものには魚を捕るための網がかかり、あるものの上には家が建っている。

船上家屋のように水の上に浮かんでいるのではなく、

水の上に家が「建っている」のです。

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10m近い超高床を持つ、この地域の家々は、一番上が居住ゾーン。

その居住ゾーンの下には中二階が設けられており、船着き場や漁具置き場、台所などの機能を持っ

ています。

主な交通手段は舟。小型のモーター付きボートやさらに小さな手こぎの舟が行き交います。

10歳に満たないような小さな子供たちも実に器用に舟を操り、買い出しや登下校をしています。

陸上でいうところの、自転車やバイクの感覚。操れて当たり前。

 

村の中で唯一水に浸からないのは、お寺とそこから村の中央を走る一本の道だけ。

乾期の間は道として利用されているものの、水位が上がれば道はその先を失い、

まさに陸の孤島になります。水揚げした小えびを日干しにしたり、舟の修繕をしたりと

すでに道ではなく、広場と化しています。

20090209-2.jpgのサムネール画像

道の両側に一列に並んで建つ家々は、道からさらに5mほど梯子を登り、ようやく母屋に至ります。

家の中から裏を見れば、「湖水地方」という言葉がぴったりの、楽園のような風景。

その中で、子供たちが水浴びをしていたり、手こぎの舟が穏やかに横切ったり。

 

村から湖に向かってさらに舟を進めると、両手には広大な浸水林が広がります。

そこはカンボジアというより、アマゾンの熱帯林やマングローブ林のよう。

林の中に船を舫ってしばらく浸水林と呼吸を合わせる。

たった数分のその瞬間にも、カンボジアの大地のリズムと豊かさが体にしみこんでくるようです。

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水が上がったら上がったように、水が引いたら引いたように暮らすコンポンプロックの生活は、

豊かな自然の掌の上で暮らす、という人間の本来の姿を思い出させてくれます。

 そして同時に、周囲の自然をよく観察し、その環境に合わせて自分たちの文化を創り出していく

人間の適応能力と創造性にはほとほと関心します。

 

 

小舟が行きかうコンポンプロックの風景の向こうには、

人間のしなやかさと置かれた環境と付き合っていくためにたゆまぬ努力がありました。

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コンポンプロックへの行き方は、「JSTオリジナルツアー」ブログにて紹介します!

 

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