皆さんは、いつもどのような水を飲んでいますか。
水道水、ペットボトルのミネラルウォーター?それとも、井戸水…?
宮城県仙台市にある仙台二華高校では、宮城県を縦断する北上川と東南アジアを跨いで流れるメコン川をフィールドとした世界の水問題解決への取り組みというテーマで、研究を行なっているそうです。
今回は2つの班に分かれ、水タンクの設置とトイレ事情調査を目的とした班がシェムリアップに訪問されました。
今回のブログでは、トイレの調査を中心に行うB班の活動についてご紹介します!
なぜ水質検査をするのか?
設備の整ったトイレが少ないカンボジアでは、
人間の排泄物がうまく処理されないまま土に戻ってしまうことで、
その土を通って溜まる地下水の水質に影響を及ぼします。
水環境をより良くするには、トイレ環境を良くすることも重要なのですね!
水質調査1日目
まずは、前回訪問された際にバイヨン中学校に通う生徒3人に調査を頼んでいた、
調査の記録を収集。
そして彼らにインタビューと彼らの家庭訪問に行きました!
1件目のネッちゃん(右)のお家を訪問します。
彼女には去年(2016年)の12月に水質調査キットを渡し、家で日常的に使われる水の水質について調査してもらっていました。
彼女の家では、去年の11月に寄付してもらったという浄水器に井戸水を通して飲み水にしているそうです。
今回もまた、次回仙台二華高校の方たちが来るまでに、
水質検査をしてもらうことを頼みました。
インタビューの傍らでは、この家で日常水として使用されている井戸水を専用の検査キットを使用しながら水質検査を行っています。
この他に前回の仙台二華高校の高校生の皆さんが訪問された時から、水質検査を自分たちで行ってくれた中学生は2人います。彼ら・彼女らの家にも浄水器があり、それらは全てまとめて支援されたものだそう。1つ5$~10$ほどで購入したそうです。
彼らの兄弟の多くは中学校までしか学校には通っておらず、その後は遺跡近くでお土産を販売や、マッサージ屋で働いているそう。やはり、高校へ行くのは少ないようですね。
2件目の家では、水質検査をする近くで遊んでいた近所の少年・少女が周りに集まってきました。不思議そうな顔をしながらも、今までみたこともない様子に興味深々でした。
水質調査2日目
この日はアンコールクラウ村に突撃訪問をし、
水質調査とインタビューをするのを目的に村内を散策。
まずは地図を見ながらどの辺に行くのかを定めます。
暑い中車を使わずに村の細い道をまっすぐにどんどん進んでいきます。
すると….何やら、英語が聞こえてきました。
「ん?」と不思議に思い、少し曲がって声の聞こえる方向を覗いてみると…
何やら沢山の人々が集まって地面を見ています。
辺りの様子を伺い、尋ねてみると…
なんと!あの新しく仏像が発見された場所だったのです。
ちょうどその時、仏像の足が見つかり、
周りにいた調査団や観光客がざわざわとしていました。
こんな歴史的発見の場に出会し、感動していると、
少し時間が過ぎるのを忘れてしまいました。
それはさておき、調査のために家探しに戻りましょう。
まず第1件目の家を見つけ、外で赤ちゃんを抱いた女性に声をかけてみます。
この赤ちゃん、実はこの方の子どもではなく、この女性の孫だそう。
40歳にしておばあちゃん、とても若いですね。
この女性は村の野菜などを安く買い、街の市場に売るという
卸業のようなものを旦那さんと一緒にしているそうです。
この家には浄水器はなく、赤ちゃんが飲む水はや煮沸したものやボトルウォーターにしているそうです。
卸業ということもあり、土日も含め毎日仕事があるそう…
収入は毎日違うため、月収を計算したことはないそうです。
日々を必死に生きているというのが伝わってきました。
3件目にまた突撃訪問で家に伺うと、ベッドの木枠にビニールで屋根を貼ったようなところに女性が座っていました。この女性の家でも井戸水を浄水器に通して飲料水としているそうです。
この家の水質を検査してみると、アンモニアと鉄が多いことが発見されました。この家ではトイレがなく、用を足す時には叢などですましているそうです。
後日この家の井戸水を検査しなおしたところ、大腸菌も発見されました…
人間の排泄物が土に染み込み、地下水として溜まったものは
アンモニアや大腸菌などによって汚染されてしてしまうそうです。
(↑水質調査を行っている様子。不安定な台の上で雨も降る中狭い屋根の中で検査するのが少し大変そうでした。)
今回訪問をした家庭の多くは、浄水器が設置されており、
それらは去年支援されたものがほとんどだそう。
自分の家にトイレがあるという家庭はほとんどなく、近所の親戚の家のトイレを貸してもらっていたり、家の周りの叢で用を済ませることが多いと言っていました。
家族構成を伺った際には、家に住んでいる人数を答える人がほとんどで、
遠い親戚までもが一緒の家に住むことがあるカンボジアでは、
「家族構成は?」と聞くと、いとこなども「姉」などと答えられることもあり、
正確なデータを得るのに少し苦戦をします…
突撃訪問で水質検査とインタビューをしに伺ったのにもかかわらず、気前よく家に招いてくれる村人ばかりでした。
このお家訪問を通して村人たちの寛容さや生活スタイルを見ることができました。
3件目の家では、「ぜひ検査結果を知りたい!」という要望があり、検査結果を伝えました。
鉄分が多いと説明すると、「鉄分を取り除く方法はないのか?」と尋ねられましたが、
残念なことに、一度水に含まれてしまった鉄分を取り除くのにはとても難しいそうです。
調査に興味深々な村人もおり、調査をする側にとっても嬉しいことだったようです。
ここまでで滞在期間中の水質調査は終わりです。
車が通ることも困難な村の細道を歩きながら家探しをし、
調査に励む高校生の一生懸命な姿と、休み時間も調査の話をする真剣さには驚かされました。
次回のブログでは、このBグループが行ったアンコールクラウ村の住人たちの日常食と市場の魚や野菜の値段調査をご紹介いたします。
お楽しみに!
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