古代の知恵や技術、それらを護る人々のことを伝えたい。JSTでは遺跡やその修復に関する広報活動、カンボジアの子供たちに向けた遺跡教育事業を行っていました。
カンボジアの子供たちの社会見学会 (2009年~2019年)
遺跡を護る次世代を育てる機会を創ることも、JSTの重要なミッションでした。
シェムリアップにはカンボジアを代表する文化遺産群がありながら、子供たちの教育と文化遺産がうまくつながっていないのが現状です。その中で、遺跡修復チームと協働しているNGOだからこそできる機会の提供を!と、「カンボジアの子供たちのための社会見学会」を実施してきました。
対象はシェムリアップ近郊の小学6年生とシェムリアップ教員養成校の学生たち。午前中半日を使って、バイヨン・インフォメーション・センターと遺跡修復現場を訪問するプランは、子供たちにとって数少ない校外活動。カンボジア人遺跡修復専門家がクメール語で子供たちにもわかるよう、丁寧に説明していきました。
参加した子どもたちからは、「こんな機会はもうないかもしれない。」「勉強のチャンスをもらって泣きたいほど感動しました!」という声が寄せられ、説明するカンボジア人遺跡修復専門家にとってもやりがいのあるプロジェクトでした。
子供たちのための遺跡修復講座
JSTの活動拠点であるアンコール・クラウ村では住民の多くが様々な形で修復や整備、清掃など、遺跡の保全事業に関わっています。「遺跡に一番近い村だからこそ、遺跡のこと、お父さんやおじいちゃんの仕事のことを知ってもらいたい。」という思いを込めて、村の子供たちに向けた「遺跡修復講座」を実施しました。講師はJASAのカンボジア人遺跡修復専門家。修復の様子を紹介する写真の中には、同じ村の人たちの顔が!日頃「修復」という仕事に親しみのない村の子供たちにとって、家族の仕事を理解する大切な機会になったようです。
遺跡の近くに住んでいても、なかなか遺跡に触れる環境がないカンボジアの社会ですが、積極的にこうした機会を作ることで、将来の遺跡修復を支える人材が同じ村の中から誕生することを願い、活動を行いました。